「どれだけ言っても改善されなかった」
これはオリックスの中嶋聡監督が今季最終戦後に辞任を表明した際の、落胆の弁である。全力疾走をはじめとして、シーズン当初から指導してきたことが選手に徹底されなかったことに対するものだった。
野球解説者の伊東勤氏は同じ捕手出身として、自身のYouTubeチャンネル〈伊東勤の110チャンネル〉で、その心情を慮っている。
「あまり状況がよくないところからスタートして、優勝して2連覇して3連覇して、選手たちの気持ちというか立場が、少し首脳陣よりも上にきた可能性もあるんですよね。チーム全体としてトップは監督ですからね。監督より選手が偉くなっていっちゃまずいですよね」
伊東氏はまた、監督辞任の話が終戦まで漏れ出てこなかったことに、
「これも彼の頑固さっていうかね、決して外に漏らさず、キャッチャーらしいかなと。男気を感じた。それは思いましたね」
2000年以降、パ・リーグで3連覇を成し遂げたのは中嶋監督のみだ。セ・リーグでは巨人・原辰徳監督が2007年から2009年と、2012年から2014年の2回。広島・緒方孝市監督は2016年から2018年に達成している。
原監督は連覇が途切れた2010年に3位、あるいは2015年は2位と、Aクラスを死守したが、緒方監督の2019年は4位だった。以降の広島は優勝から遠ざかっている。今季、5位に甘んじたオリックスは「緒方監督の広島に似ている」のか…。
オリックスナインは、中嶋監督の悔恨の言葉を胸に刻み、新体制の下で出直すしかない。
(所ひで/ユーチューブライター)