突然発症する「ぎっくり腰」。寒くなるこの時期からが特に注意を必要とする。
「ぎっくり腰」は「急性腰痛」ともいわれ、急に立ち上がったり、重い荷物を持ち上げた時、起床時などの際、腰に激痛を引き起こす。
主な原因は腰周りの筋肉の衰えだ。正常な腰椎(腰の部分の骨)は緩やかなS字カーブを描いているが、腰周りの筋肉が衰えると、カーブにゆがみが生じて痛みを発症する。ひどい時には、脚部やお尻にもしびれを伴うこともある。これ以外では骨折、感染症、腫瘍が原因となるケースもある。
「ぎっくり腰」を発症すると、初めは動けなくなるほどの痛みで苦しむが、しばらくの間安静にすると自然に治ることも多い。痛みが強い場合には、鎮痛薬や筋弛緩薬などの投与、神経ブロック注射などが行われることもある。しかし、急に体を動かすとつらいばかりでなく症状を悪化させてしまうケースもあるため、安静が肝心。落ち着いた段階で医師の受診が必要だ。
主な対策は姿勢。日頃から腰に負担をかけない生活を心がけたい。デスクワークでは、長時間同じ姿勢をとり続けないように注意。空き時間には、軽い運動やストレッチなどで腰周りの筋肉を鍛えることがオススメだ。
他にも、起床時には急に起き上がったりしない、重い荷物を持ち上げる時は、膝を折って腰を落として腰への負担を減らすなど、注意したい。さらに、段々寒くなるこの時期は体を温めることも重要だ。入浴時に十分温まったり、腰周りにはカイロを使用するなど、腰の筋肉の冷えを防ぐことも予防につながる。
慢性化しないように日頃から正しい姿勢を心がけるなど腰痛予防に努めてほしい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。