プロ野球はこれからクライマックスシリーズ、そして日本シリーズで盛り上がるだろうが、同時に「戦力外通告」の時期でもある。多くは力量不足や球団事情によるものだが、「何か別の問題があったのではないか」との疑いを持たれている戦力外選手がいる。中日ドラゴンズが来季契約を結ばないことを通告した、上田洸太朗投手である。
上田は愛知・享栄高校から2021年に育成ドラフト2位で中日に入団した。キレのあるカットボールを武器にロングリリーフをこなすなど、昨季は13試合に救援登板し、素材の良さを見せつけた。今季はファームで9試合に登板し、防御率4.81、2勝4敗。最後まで1軍に呼ばれることはなかった。
まだ22歳と若く、わずか4年での戦力外通告で浮上したのは「素行面での問題」だった。
上田の素行面が俎上に載るのには理由がある。2022年9月、球団が「チームの規律に違反したため 上田洸太朗投手を謹慎処分といたしました」と発表したことがあるからだ。コロナ禍での「無断外出」や「未成年飲酒・喫煙」などが疑われたが、「SNSで立浪和義監督を批判したらしい」という真偽不明な指摘もあった。
問題とされるSNS投稿は、自身が負けた試合について立浪監督を批判するコメントに、自身のアカウントで「いいね」したことが監督批判ととられたのではないか、というものだ。プロ野球の世界で監督批判は御法度だが、真相は明らかになっていない。
中日ではこれまでにも複数の選手が謹慎処分を受けており、監督やコーチなどへの批判的な態度を含め、チーム内でのルール違反には厳しい処分が下される。中日は来季に向けて若手選手の育成に注力する必要があるが、そんな中での上田の戦力外通告に、あらぬ疑念が再燃することになったのである。
(ケン高田)