明治大学のドラフト1位候補・宗山塁の評価が爆上がりしている。10月14日の立教大学戦に3番・遊撃で出場すると、5回にセンター前タイムリーヒットを放つなど、6打数3安打1打点の大活躍。今季3度目の猛打賞を達成し、ついに首位打者に浮上した。
球場には複数の球団のスカウトが視察に訪れており、10月24日に行われるドラフト会議での競合は必至。すでに広島が1位指名を公言しており、田村恵スカウト部長は、
「地元から出たスーパースター候補。 将来、主軸選手になってくれる。カープとして誠意を見せる」
と熱烈ラブコールを送っている。はたして幸運の女神はどの球団に微笑むのか。
広島ファンのテンションはすでにMAXだ。地元・三次市生まれで、父親とともに広陵高校出身であり、入団後は早くも遊撃のポジション確定の声が上がっている。ところがそうなると今季、攻守にわたって頭角を現した矢野雅哉のポジション問題が新たに発生することになる。
もし宗山を遊撃で起用するのであれば、矢野は二塁に回ることになろう。しかし広島の二塁には12球団一の守備職人・菊池涼介が絶対的な存在感を示しており、球団としては頭が痛いところだ。
そんな中、にわかに浮上しているのが、小園海斗の「外野コンバート説」だ。小園は2021、2022年と連続で100試合以上、遊撃で出場していたが、昨年から三塁のポジションに就くことが増え、今季は128試合で守備率9割5分3厘を誇っている。矢野が三塁を守るようなことがあれば、確かに外野に活路を見い出すことになる可能性はある。
小園は今季、打率2割8分、2本塁打、61打点の成績だった。4番で起用されることもあり、球団の期待は大きいものの、三塁手としては長打力に物足りなさがある。
「矢野と菊池という鉄壁の二遊間を誇りながら、球団が宗山獲得を公言したのは、宗山と矢野でセンターラインを固めるプランがあるからでしょう。菊池が現役の間は矢野を三塁で起用し、小園を守備の負担が少ない外野にコンバートして打撃力アップを図る、という手は考えられます」(スポーツライター)
小園の外野コンバートは一見、ベストな案に思えるが、気になるのはFAだ。広島は社会人時代に遊撃手としてプレーした西川龍馬を、プロ1年目から慣れない三塁に起用。これは遊撃に田中広輔という不動のレギュラーがいたからだ。結局、西川は、丸佳浩が巨人にFAした後の穴を埋めるため外野に転向したが、今季からオリックスに移籍したのは周知の通り。
今やチームの顔になった小園を簡単にコンバートすれば、西川の二の舞になる危険性はある。もし広島がドラフトで宗山を引き当てたら、首脳陣は頭を悩ますことになる。
(ケン高田)