近年、ネットオークションでは、いったい誰がこんなものを買うのだろう、と思わせる品物をチラホラ見かける。そんなアイテムのひとつが、悪霊が取り憑いているとされる人形だ。
アメリカの大手ネット売買サイト「eBay」を覗いてみると、パワフルなヒーリングスピリットが宿る人形をはじめ、子供の霊が乗り移った「Haunted Doll」などが多数販売されている。過去には数十万円で取り引きされる高額な人形もあったというから驚く。
超常現象や霊現象を引き起こす人形には「アクティブ」という表示があるが、映画「アナベル 死霊館の人形」に登場するアナベルは有名だ。あるいは映画「チャイルド・プレイ」のモデル、ロバート人形は現在も、米フロリダ州のイースト・マーテロー博物館に展示されており、その呪いは今も健在だという。
というのも、ガラスケース越しとはいえ、むやみに触れようものならその後、来場者は不吉な出来事に見舞われるというのだから。
ロバート人形はテディーベアで知られるドイツの高級玩具メーカー「シュタイフ」が製作。ただ、販売目的ではなく、店頭ディスプレイ用に作られたものを、アメリカのアーティスト、ロバート・ユージーン・オットーの祖父が見つけ、孫のプレゼント用として購入し、家に持ち帰ったとされる。そしてこの人形がやってきてから、オットー家には奇妙な出来事が次々と起こるのだ。
夜になると突然おかしな音が聞こえたり、勝手に照明が消えたり。誰も手を触れていないのに、花瓶が床に落ちることも。両親はロバートのいたずらではないかとして、ロバートを責めたという。当然ながら、ロバートは否定。「僕じゃない、人形がやった」と…。
唯一、叔母だけがロバートの言葉を信じ、人形を屋根裏部屋にしまうよう、ロバートに指示した。ところがほどなくして、その叔母が急死。以降、この人形をめぐる様々な噂が流れ、近所の子供がロバートの屋敷の2階の窓から人形が顔を出す姿を目撃することもあったという。
ロバートはその後、ニューヨークとパリでアートを学び、フランス人女性と結婚後、生まれ育ったこの屋敷で生涯を閉じた。この時、傍らには人形が置かれたままだった。オカルト研究家が解説する。
「その後、この屋敷を購入したマートル・ロイターという人物はなぜなのか、この人形を処分しなかった。するとまたもや屋根裏から子供の笑い声のほか、けたたましい足音が聞こえるようになり、来客がロバートの噂話をすると、人形の顔つきが一変。悪魔のような形相になり、その人物には不幸が降りかかったという話が残されています」
ロバート人形は1994年に博物館へと寄贈され、地元の新聞やテレビで紹介されたことで、やがて映画の題材にもなった。いまだ恐ろしい伝説を持つロバート人形は、撮影しただけで呪われるとの噂もある。博物館を訪れる際は要注意だ。
(ジョン・ドゥ)