その昔から「人形には魂が宿る」と言われる。そのため、持ち主がこの世に未練を残しながら死を遂げた場合など、所持していた人形に死者の霊が乗り移ることがある、とされてきた。
そんな過去を持つ「呪われた人形」として知られるのが、イギリス・ウェールズのレクサムに住む著名なゴーストハンター、マット・ティレット氏が所有する「アニー」だ。まずは世界のオカルト現象研究家の話を聞こう。
「アニーはアメリカのとある住宅で火災が起こった際、その家から発見された人形。顔の一部が焼けただれ、見るからにいわくがありそうな姿が特徴です。その後、どういう経緯を経たかは不明ですが、アメリカでのオークションに『呪いの人形』として出品され、興味を持ったティレット氏が購入した。そして人形をアメリカからイギリスへ輸出したとされています」
するとすぐに、奇怪な現象が現れ始めた。そのひとつが、アニーの隣に夜な夜な現れる「謎の影」だ。
ティレット氏はさっそく、アニーを置いた部屋に監視カメラをセット。24時間体制での調査を始めた。すると驚くことに、影が現れるとアニーが不気味な喘ぎ声を発したり、言葉を喋ったりするようになったのである。
地元メディア「North Wales Live」の取材に答えたティレット氏によれば、この影はおそらくアニーの持ち主で、火事によって亡くなったものの、自分が死んだということに気付いていないか、あるいは死んだということを受け入れられない霊ではないかと。
「しかもアニーにはもうひとつ、メソポタミア時代に悪の限りを尽くした『ゾゾ』という名の悪魔が封じ込められており、ゾゾが霊を操っているというんです。というのも、ティレット氏はかつて、ウィジャ・ボード(西洋版コックリさん)でゾゾと交信したことがある。それゆえ、アニーの霊を支配しているのはゾゾである可能性が高い、と語ってるわけです」(前出・オカルト現象専門家)
ティレット氏がオフィスのガラスケースに入れて監視していると、今度はアニーの右目から水滴が流れ始めるようになったそうだ。マット氏によれば、ガラスケースには空気口があるため、結露ができた可能性は極めて低いという。そしてこの涙こそが「人形に閉じ込められたゾゾの憎しみと悲しみに満ちたそれではないか」としている。
呪いの人形アニーは今でも、貴重な実験材料として、ガラスケースの外から監視されている。
(ジョン・ドゥ)