「ヤフオクの世界版」として、利用者数1億8000万人を誇る米オークションサイト「ebay」で昨今、変わり種コレクションの人気が高まっている。「Haunted Doll」、つまり「呪いの人形」がそれだ。
呪いの人形といえば、映画「チャイルド・プレイ」のモデルとなった「ロバートの人形」が有名だが、実はそんな収集家たちが、世界から訪れる場所がある。それが英ノッティンガム北東部マッパーリーにある「ノッティンガム・ホーンテッド・ミュージアム(ノッティンガムお化け博物館)」なのである。
これはもともと劇場だった場所を、超常現象研究家で呪物アイテム・コレクターの、マリー&スティーブ・ウェッソン夫妻が2018年に購入し、改装したもの。世界各地から集めた選りすぐりのコレクションが展示されている。
この夫妻が今年3月、イギリス国営放送局BBCで骨董品を紹介する番組「バーゲン・ハント」に出演した。そこである人形を紹介したところ、番組を見た多くの視聴者に、頭痛や目の痛みといった被害が続出したとして、大きな波紋が広がったのだ。
骨董品鑑定の専門家チャーリー・ロス氏が司会を担当し、毎回2組の出場者が蚤の市などで骨董品を購入。それをオークション形式で販売するという番組だ。この日は特別に、博物館のコレクションから、夫妻が数点のいわくつきアイテムを紹介。そのひとつが米テキサス州の家族から博物館に寄贈された「ジョージ」という古い人形だった。
ジョージはズタ袋のようなフードを被り、しかめ面で鋭い目が特徴。その異様な風貌はまさに、一度見たら忘れられないものだ。ジョージがテレビに映し出されるや否や、SNSには体の異常を訴える書き込みが続出。当然のことながら、BBCにクレームが殺到したという。
実はジョージは1930年代にアメリカのテキサス州からイギリスにわたってきた人形であり、亡くなった男性に捧げるため、故人が使用していた義眼と髪を使って作られたものだ。
ところが所持する家族が次々と超常現象に見舞われ、ジョージを霊媒師に見せたところ、故人が自分の目と髪を取り戻そうとして、様々な現象を起こしている可能性がある、と指摘される。結局、家族は人形を手放し、その後、夫妻の博物館にたどり着いたというわけである。
イギリスではビクトリア王朝時代に、実際に故人の遺髪を使い装飾品を身に着ける風習が広まったとされるが、こと人形は魂が乗り移りやすいとされるもの。いかに故人を愛するがゆえの行為とはいえ、方法によっては災いを招くことも忘れてはならないのだ。
(ジョン・ドゥ)