歴史や宗教的背景により立ち入りが禁止されている場所、また、一般人の立ち入りは禁止で、限られた人しか入ることができない場所が「禁足地」と呼ばれるスポットだ。このような場所は世界各地に点在するが、米CNNが2012年に制定した「世界7大禁足地」のひとつに認定された場所に「人形島」がある。
そのうっそうと茂る木々の中、おびただしい数の人形が吊り下げられた光景が訪れる者を凍り付かせるとして、メキシコ最大の恐怖スポットとされている。
人形島は首都メキシコシティからは、フェリーで片道約2時間。南部のソチミルコ(世界遺産)の運河に浮かぶ小さな島。かつてジュリアン・サンタナ・バレーラという人物が所持時は禁足地だったものの、同氏の死後、所有権が甥に移ってからは観光地として一般に公開されるようになり、怖いもの見たさの観光客が絶えない。世界の心霊スポットに詳しいオカルト研究家の解説。
「ジュリアン氏は1921年生まれ。子供の頃から霊的感受性が強かったこともあり、変わり者と言われるなど周囲の目に耐えられず、1950年代に島に移住。そこで自給自足の生活を始めたようです。ある日のこと、彼は運河で溺れている少女を見つけるも、助けることができなかった。その後、少女の霊が岸辺から彼のもとに現れ、幻聴や幻覚に悩まされ続けたのです。彼は少女の霊を慰めるため、運河を流れてくる人形を拾い集め、島の至る所に飾り始めたのだといいます」
だが、それでも少女の霊は昼夜を問わず、彼のもとに現れたという。そこでジュリアン氏は、運河に流れ着いた廃棄物だけでなく、仕事で出向いたメキシコシティでも人形を買い漁るなど、まるで取り憑かれたかのように人形を集めては木に吊り下げ、いつしか人形が島を覆い尽くしていく。結局、少女の死から50年後の2001年に、他界したという。前出のオカルト研究家が語る。
「しかも不思議なことに、彼が倒れていたのは、少女が打ち上げられ、人形が残されていた岸辺と同じ場所だった。現場検証の結果、死因は心臓発作だったとされますが、現在も彼は少女の呪いで命を失ったのでは、とされているんです」
その後、地元の人々は「呪いの島」と呼び、めったに近づくことはなかったが、甥が所有することになってからは、観光スポットとしてオープンにされることになったという。
とはいえ、亡くなった少女の魂が今も島を彷徨っているとされることから、観光客の間でも不思議な現象の出現があとを絶たない。人形島は世界有数の心霊スポットとして、その名を知らしめているのだ。
(ジョン・ドゥ)