TBS「日曜劇場」のドラマ「海に眠るダイヤモンド」と、テレビ朝日「日10」のドラマ「マイダイアリー」の初回が10月20日に放送された。
日曜夜9時の「日曜劇場」は、NHK大河ドラマや連続テレビ小説よりも長い歴史を持つ、1956年にスタートしたドラマ枠だ。一方で、昨年4月に始まった、ドラマ枠としては新しいのが、テレ朝「日10」(今期から夜10時15分開始)。新旧ドラマ枠対決は「NHK朝ドラ主演俳優対決」の様相を呈している。
「海に眠るダイヤモンド」の主演は、昨年度上期の朝ドラ「らんまん」で主演した神木隆之介。さらには2020年度下期「おちょやん」主演の杉咲花と2015年度上期「まれ」主演の土屋太鳳が顔を揃え、朝ドラ主演経験のある俳優が3人という豪華なキャストだ。
ホストの玲央(神木)が謎の婦人いづみ(宮本信子)と出会う2018年が、物語の始まりだ。そこから舞台は1955年の長崎・端島(軍艦島)に遡り、炭鉱で賑わう島で生きる鉄平(神木、二役)らの青春を描く。
豪華キャストと同様に出色なのは端島、いわゆる「軍艦島」のセットのリアルさだ。
明治以前から石炭の採掘が始まった端島は、東西160メートル、南北480メートルという狭い島。最盛期となる1960年には5000人を超える人々が暮らし、人口密度は8万人を超えた。東京23区の9倍以上であり、もちろん世界一だった。
日本の戦後復興と高度成長期を支えたが、エネルギーの主流が石炭から石油に変わりつつある1960年代後半には衰退が始まり、1974年に閉山されると無人島に。2009年には世界遺産登録されている。
歴史的経緯のある島を舞台に、そこへ逃げるようにやって来た謎の歌手・リナ(池田エライザ)と鉄平の恋はどうなるのか。いづみにとって玲央は「忘れられない人」に似ているとのことだが、いづみはレナと同一人物なのか、それとも別の女性なのか。既に視聴者による「考察」が始まっている。
ではもう一方の「マイダイアリー」はどうか。2021年度上期朝ドラ「おかえりモネ」に主演した清原果耶が、主人公・恩村優希役を務める。
社会人1年生の恩村が2年前の大学生時代を振り返る形で、物語はスタート。「ギフテッド」の特性を持ち、数学の才能を持つ同い年の徳永広海(佐野勇斗)との関係の進展を中心に添えた、青春群像劇だ。
冒頭で、社会人の優希と広海が恋人同士として交際しているような描写があるが、2年前の大学時代の様子が描かれた本編後のラストでは、社会人になった優希が別の同級生である和田虎之介(望月歩)と、デートの待ち合わせをするようなシーンが。登場人物たちの恋の行方がどうなるのか、今後の展開が待たれる。
清原は2015年下期朝ドラ「あさが来た」で女優デビューした。2018年のNHKドラマ「透明なゆりかご」に主演して脚光を浴びると、2019年度4月期の朝ドラ「なつぞら」では主演・広瀬すず演じる奥原なつの妹・千遙役で話題になるなど、順調に女優としてのキャリアを積んできた。
「ただ、現代劇でモデルのいない『おかえりモネ』の評判は今ひとつ。注目された、朝ドラ後の主演ドラマである2022年1月期の『ファイトソング』(TBS系)や同年10月期の『霊媒探偵・城塚翡翠/invert 城塚翡翠倒叙集』(日本テレビ系)が視聴率的にコケてしまうなど、朝ドラ以降は代表作に恵まれていません。以降は映画を中心に活動している清原にとって、2年ぶりドラマ出演となる今作は、今後を占う試金石となりそうです」(テレビ誌記者)
2作品とも今後の展開が楽しみなのだが、次回放送は1週空いて11月3日となる。
「10月27日は衆院選の投開票があり、テレビ各局は当日20時以降、特別番組を放送する予定です。これが2作品の視聴率にどんな影響を与えるのか」(テレビ局関係者)
TBSとテレビ朝日のドラマにとっては文句のひとつも言いたくなる、石破茂内閣の早すぎる解散・総選挙なのかもしれない。
(石見剣)