プロ野球選手になるための「近道」が、10月24日のプロ野球ドラフト会議で判明した。支配下69人、育成54人の選手が指名を受けたが、注目の宗山塁は楽天、そして金丸夢斗は中日が交渉権を得たが、興味深かったのは、捕手の指名だ。
「高校球界屈指の好捕手、箱山遥人が指名されなかったのは驚きでした。社会人野球と独立リーグから、それぞれ2人の捕手が指名されたのですが…」(スポーツ紙記者)
社会人捕手を指名したのは、中日とオリックス。社会人から捕手が指名されたのは5年ぶり。そして社会人捕手の複数指名は2017年以来となる。在京球団スタッフが言う。
「高校、大学から捕手を指名する傾向が強まったのは『育てる』という意味合いからです。プロとアマチュアでは変化球のキレ、曲がり具合にも数段の違いがありますしね」
そんな事情から「大人の捕手」の指名は難しいとされるが、今年は独立リーグからも2人の捕手が指名された。ヤクルト5位の矢野泰二郎(愛媛マンダリンパイレーツ)と、阪神4位の町田隼乙(埼玉武蔵ヒートベアーズ)だった。
「どのプロ球団もそうなんですが、春季・秋季キャンプでブルペン捕手の不足を補うため、独立リーグやクラブチームに連絡するんです。アルバイトとして、独立リーグの捕手などにもブルペン捕手をやってもらっています」(前出・在京球団スタッフ)
そのアルバイトで、プロ球団側のコーチにキャッチングの巧さを認められるケースがあるそうだ。プロコーチからスカウトに連絡がいき、その捕手が視察対象となる。このルートで指名に至ったのが、独立リーグの矢野と町田のようだ。
「ブルペン捕手のアルバイトをすればプロ投手のレベルを体感できるので、独立リーグ側にとってもプラスになります」(球界関係者)
もっとも、球団がシーズンを通して契約している「リアル・ブルペン捕手」は、捕球音を響かせることに関しては「支配下の捕手以上」と言われる。投手をノセて、外角低めに強いボールを投げ込ませるテクニックもあり、シーズン中は先発予定の投手のボールを数球捕っただけで、好不調を見極めているそうだ。
アルバイトのブルペン捕手にそこまでは求めていないだろうが、プロのブルペン捕手の中に入っても引けを取らなかったのが、矢野と町田なのだろう。この2人が活躍したら、アルバイトのルートがクローズアップされそうだ。
(飯山満/スポーツライター)