フジテレビの新ドラマ「モンスター」主演は、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」(2023年度後期)のヒロインだった趣里。彼女にとってゴールデン・プライム(GP)帯の連ドラ初主演作だが、高校3年生で司法試験に一発合格した新人弁護士が、ゲーム感覚で法廷闘争に立ち向かう、いわゆる「弁護士もの」だ。
10月14日の初回視聴率は世帯6.5%(ビデオリサーチ調べ、関東/以下同)、個人3.6%。フジテレビが趣里を起用したのはもちろん、「ブギウギ」で得た知名度によるものだろう。朝ドラヒロインが民放ドラマで主演するのは既定路線だ。
NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」(2022年度後期)のヒロイン福原遥は、7月クールの「マル秘の密子さん」で日本テレビ系GP帯ドラマ初主演。初回の視聴率は、世帯平均6.7%、個人視聴率3.6%だったが、徐々に下落。最終回は世帯4.5%、個人2.5%に終わっている。
この2作には同じような狙いがあったものの、明確な違いがある。ドラマ関係者が言う。
「『モンスター』の趣里は『ブギウギ』での天真爛漫な役柄とは打って変わって、抑制の効いたダークな演技が冴えています。傍若無人すぎない、それでいて新人らしからぬ小生意気な弁護士ぶりがハマッている。一方で福原も『舞いあがれ!』での明るく爽やかな役どころから一転、謎めいたキャラを演じていました」
ただ、どちらも朝ドラでついたイメージを、いい意味で裏切る意図があったものの、福原が「密子さん」で演じたのは、ファッション、メイク、メンタルなどあらゆることをサポートし、手段を選ばず、どんな依頼もかなえるトータルコーディネーターという架空の職業。ドラマ関係者が続ける。
「このよく分からないキャラクター設定に、視聴者がついていけなかった。回を重ねるにつれて、次第にサスペンスフルな話になっていきましたが、この展開も視聴者を遠ざけてしまいましたね。両方ともオリジナル作品ですが、やはり日本テレビはフジテレビのように、分かりやすいストーリーにするべきだったのでは」
どうも日本テレビはドラマ作りが下手なようだ。
(魚住新司)