テレビ朝日は4月17日~19日の3日間にわたり、東京・六本木の本社を完全に封鎖することになった。12日に「報道ステーション」のキャスターを務める富川悠太アナの新型コロナウイルス感染が判明したほか、チーフディレクターらの番組スタッフもPCR検査で陽性と判明したことから、全フロアの徹底的な消毒を行うことになったという。
それに伴い、生放送に関わる一部スタッフ以外の社員は立入禁止になる模様。しかし生放送番組は情報番組や報道番組など意外に多いうえ、さすがに3日間も本社を封鎖するとなると様々な番組の収録にも影響が及ぶのは想像に難くない。それでも放送を継続できるのはなぜなのか、テレビ誌ライターが指摘する。
「東京都内のキー局は本社以外にも大規模なスタジオ設備を構えており、そちらで番組収録を続行することが可能なのです。テレビ朝日は本社周辺の再開発に伴い1985年、1.6キロ離れた場所に『テレビ朝日アーク放送センター』を新設。2003年に現在の本社ビルが完成した後も、引き続き収録スタジオとして使用しています。アーク放送センターではバラエティ番組やドラマを収録しているほか、中継車を介して本社ビルと繋ぐことで生放送にも対応可能。そのため今回のような緊急時には、放送電波の送出元である『主調整室』のスタッフさえ本社ビルに残しておけば、放送を継続することが可能になる仕組みです」
同様に日本テレビでは、汐留に移転する前の旧社屋跡地に4つのスタジオを備えた「番町スタジオ」を新設。フジテレビは球体展望室で知られる本社から徒歩15分ほどの場所に「湾岸スタジオ」を所有しており、アイドル夏フェス「TIF」の開催地としてファンにはおなじみだ。
そしてテレビ東京では、「ゴッドタン」など人気番組の収録場所として知られる「天王洲スタジオ」を所有。これらの3社がいずれも都内にスタジオ施設を構えているのに対して、TBSでは「SASUKE」の舞台としておなじみの「緑山スタジオ・シティ」を神奈川・横浜市に所有している。
「これらの民放キー局に対して、NHKの収録スタジオは渋谷のNHK放送センターに集約されているように思えますが、NHKでは同センターが機能を停止した場合に備えたバックアップ体制を完備しています。近隣の横浜放送局、さいたま放送局、千葉放送局を活用することができるほか、東京・千代田区の『千代田放送会館』を伝送拠点として活用することも可能。さらには大阪放送局に放送センターのバックアップ機能を整備しているため、首都圏の全拠点が機能停止した場合でもNHKは放送を継続できるのです」(前出・テレビ誌ライター)
東京に所在するキー局は全国の系列局に様々な番組を送出しており、機能停止が許されない重要な使命を帯びている。そのバックアップ体制は強固なようだ。(金田麻有)