11月24日のGⅠ・ジャパンカップ(東京・芝2400メートル)を回避し、12月8日にシャティン競馬場で行われるGⅠ・香港カップ(芝2000メートル)に参戦――。そんな日程を公表したのは、最強牝馬リバティアイランド(牝4・中内田充正厩舎)の陣営である(photo/JRA)。
10月27日の天皇賞・秋(GⅠ・東京・芝2000メートル)では1番人気に推されながら、まさかの13着に敗退した。とはいえ、昨年のジャパンカップで稀代の名馬イクイノックスの2着という実績を持ちながら、陣営が今回、あえて香港カップへの参戦を決断した理由はどこにあるのか。筆者は「その秘密は昨年のジャパンカップにおける、リバティアイランドの激走にある」と考えている。
事実、複数の競馬関係者によれば、昨年のジャパンカップ以降、
「リバティアイランドは東京競馬場の芝コースに対して、簡単には拭い去れないトラウマ(精神的後遺症)を負ってしまった」
というのだ。リバティアイランド陣営に近い競馬関係者が明かす。
「怪物牝馬と言われたリバティアイランドをもってしても、昨年のジャパンカップは過酷極まるレースとなりました。あまり大きな声では言えませんが、実はレース後に本馬場から引き上げてきた時、リバティは立っていることもままならないほどの『ヨレヨレ状態』だったのです。今年の秋の天皇賞惨敗は、その時の過酷な記憶、いわゆる『トラウマ』が原因だったと、私は考えています」
東京競馬場の芝コースに刻まれた、リバティアイランドのトラウマ。シャティン競馬場の芝コースでの劇的復活はあるのか。名将・中内田調教師の決断と手腕に期待したい。
(日高次郎/競馬アナリスト)