国内FA権を行使し、早くも「巨人入り濃厚」との予測が出ている阪神・大山悠輔は、「ファン感謝デー2024」で何を語るのか。阪神ファンの関心はまず、ここに集約されている。
ファン感謝デーには同じくFA権を行使した原口文仁も参加予定で、球団はゴルフコンペなど行事への参加や施設の利用を含め、これまでと変わらぬ姿勢で決断を待つ方針だ。
では11月23日に迫っている甲子園での一大イベントは、いったいどうなるのか。
そもそもFA権を行使した選手の参加はあくまで任意とされているが、対応は人によって様々だ。過去の例を見てみれば、2012年は平野恵一がFA権行使を表明して「皆さまの迷惑になるので自粛します」と球団関係者に連絡。12月に古巣オリックスへの復帰が発表された。
2014年オフにメジャー挑戦を目指して海外FA権を行使した鳥谷敬は、残留交渉では態度を保留し、ファン感謝イベントには参加しなかったが、最終的に残留を決めている。
また、2017年は大和が球団納会とファン感謝イベントを欠席。その後、DeNAへの移籍が決まった。
では大山はというと、最後にファンに感謝を伝え、立つ鳥跡を濁さずの姿勢で移籍する決意なのか。あるいはファンからの必死の引き止めが行われれば、律儀な性格ゆえに心変わりするのか。
そういえば、こんなことがあった。2008年、DeNA・三浦大輔がシーズンオフにFA権を行使した。当時の三浦は球団に多くの不満を抱いており、交渉では「残りたいと思える気持にはならなかった」と、熱心に誘った阪神への移籍に前向きだった。
ところが悩んでいる最中にファン感謝イベントが行われ、ハマスタで「行かないでくれ!」とファンから大声援が送られたことで一転、残留を決意。「残るからにはいいチームにしようと誓った」という。
情に厚い番長ならではのエピソードといえるが、まさかその時の決断が、今年の日本一に繋がるとは本人も思ってもみなかったのではないだろうか。
翻って大山も阪神ファンから熱い声援を送られれば、移籍へと傾きつつある気持ちが揺らぐ可能性も…。
ファン感謝イベントに参加しながらもチームを出た選手は、オリックスから日本ハムに移籍した山﨑福也、広島から巨人の丸佳浩、西武から楽天の浅村栄斗、DeNAから巨人の梶谷隆幸、井納翔一らがいる。
浅村はそこで「決断いたしました。本当に10年間お世話になりました。ありがとうございました」と泣きながら移籍を報告した。
阪神ファンは大山の言葉に、固唾を飲んで聞き入ることだろう。
(ケン高田)