今年のプロ野球フリーエージェント(FA)の「大穴候補」が絞られてきた。FA資格を持つのは111選手。国内FA権は阪神・大山悠輔、巨人・大城卓三、ソフトバンク・甲斐拓也ら24人だ。FA権行使が取り沙汰される大山や大城は球団から残留を要請されており、好条件が提示されれば残留する可能性は高い。
では移籍がにわかに現実味を帯びてきたのは誰か。DeNAの佐野恵太と阪神の原口文仁だ。佐野は今季、打率2割7分3厘、8本塁打、62打点の成績で、チームのクライマックスシリーズ進出に貢献。日本シリーズ初戦では1回二死の場面でソフトバンク・有原航平の133キロのチェンジアップを中前に運び、存在感を見せつけた。
佐野は昨季、過去3年続けて3割台だった打率が2割6分4厘まで落ち込み、1500万円減の年俸1億5500万円(推定)で契約を更改。球団からは複数年契約を打診されたが、単年を選択している。V逸には「僕が打てなかったからに尽きる。腹立たしい1年だった」と悔しさをにじませており、優勝争いできるチームに移籍できるなら、DeNAを離れる決断をするかもしれない。
原口は5月16日の中日戦で大山の代わりに4番に座り、3ランを含む4打点の大活躍。しかし、その後はいつもの「代打専門」に逆戻りした。現在は国内FA権の行使に熟考を継続する姿勢を示しているが、出場機会を求めて他球団に移籍する可能性は低くない。
野球評論家の里崎智也氏はYouTubeチャンネルで、移籍選手を予想。佐野については「出たら価値は一気に上がる。条件次第では本人のためになるよね」と太鼓判を押している。
そして原口については「Cランクだから動きやすい。やっぱり4打席、立ちたいと。今のまま阪神にいたら、ずっと代打になってしまう。需要はあるよね」とし、今季12球団最低のチーム打率2割1分2厘を記録した西武を、移籍先として挙げた。
それぞれに「動機」は異なるが、新たな環境を求めて動くことが奏功しそうな人材だ。
今年は他にも巨人・高梨雄平、中日・木下拓哉、ロッテ・西野勇士らの去就が注視される。いずれも移籍を希望すれば争奪戦になるのは間違いないだろう。
(ケン高田)