JR北海道の函館線で、貨物列車が脱線する事故が11月16日に発生した。場所は森駅と石倉駅の間にある踏切付近。下り貨物列車の後ろ5両が脱線した。
その後の調査で、原因はレールの腐食と判明。踏切はレールの一部で踏み板が隠れているが、板を外して確認しなかったため、腐食を発見できなかったという。線路が海に近く、塩の影響で腐食が進んだとみられている。
JR北海道は、海に近い5カ所の踏切で踏み板を外して点検を実施し、11月19日には運転を再開した。
振り返れば10月4日には、千葉県のいすみ鉄道でも脱線事故が発生。原因は木製の枕木が腐食していたことだった。今回の脱線事故と併せて、今後は線路の保線に目がいくのは間違いなかろう。
「JR北海道の腐食していたレールは、本来15ミリあるところが3ミリになっていました。そこまで腐食したのに発見できなかったということは、保線が満足にできていなかったということで、今後は体制が見直されることになるかもしれません。そうなれば、コストは増えますね」(鉄道ライター)
JR北海道にとって、コストの増加は深刻な問題だ。路線はどれも距離が長く、冬場は除雪もあって、現時点ですでに保線には多大な費用がかかると問題になっている。それがさらにかさむとなれば…。鉄道ライターが続けて指摘する。
「保線にお金がかかるのなら、いっそのこと廃線にしてしまえ、という機運が加速しないか心配ですね。JR北海道は2016年に10路線13区間を『当社単独では老朽土木構造物の更新を含め、安全な鉄道サービスを持続的に維持するための費用を確保できない線区』であると発表。以降は路線沿線の自治体と、存続をめぐって議論を重ねています。そんな状況下での保線コスト増加は、いい方には働かないでしょう」
なんとか存続させてほしいが、うまい手段はないものか。
(海野久泰)