格安航空券を一括チェックできるサイトを運営するスカイスキャナージャパンが発表した、「トラベルトレンドレポート2025」なるものがある。ここでコスパがいい旅行先ランキングとして、カンボジアのシェムリアップが1位に選ばれた。アンコールワットをはじめとする遺跡観光が楽しめる歴史都市であり、航空運賃や滞在費が手頃な点が高評価につながった。
ところが、である。東南アジアのカンボジアを訪れる際には、ひときわ注意が必要となる。「偽札問題」があるからだ。カンボジアでは現地通貨のカンボジアリエルとともにUSドルが広く流通しており、多くの店や観光地で利用できる。これが一部の両替所やATMで、偽札が混ざるケースが多々あり、深刻化しているのだ。
偽札は見分けがつきやすい場合が多く、気付いた際には銀行本社にレシートを持参すれば交換が可能となる。ただし、町中の食堂で釣り銭として渡されたり、いつの間にか手元の現金とスリ替えられる事例も報告されており、完全に防ぐのは難しい状況にある。
首都プノンペンのマッサージ店で、財布の中の現金を偽札にスリ替えられる被害に遭った男性旅行者の証言を聞こう。
「ATMでUSドルを引き出した際に確認しましたが、その時点では偽札は混ざっていませんでした。その後、マッサージ店に行き、荷物を置いてマッサージを受けた後、カジノに行って100ドル札を支払おうとしたところ、カジノのディーラーに偽物だと指摘されて、初めて気付きました。驚いて確認すると、それは明らかにコピーで、触り心地も本物とは全く違っていました」
カンボジアを訪れる旅行者は今後、さらに増加すると見込まれるが、現金の取り扱いには細心の注意が必要となる。とりわけ50ドル札と20ドル札が偽札として多く流通しており、両替時やお釣りを受け取った際には、その場で確認することが求められる。慎重な現金管理が、安心して旅を楽しむための基本事項だといえよう。
(旅羽翼)