10月に立て続けに起きた海外での観光事故は、痛ましいのひと言だった。トルコ西部のアフィヨンカラヒサールで17日に、日本人ツアー観光客20人と添乗員1人が乗るバスが横転し、日本人1人が治療の甲斐なく命を落とした。そして24日はマレーシア西部ペラ州で、観光バスがトレーラーと衝突する事故が発生。日本人観光客1人が死亡し、10人が負傷した。
こうして海外ツアーでの事故が相次ぐことに「ツアーの過密スケジュールが原因ではないか」との指摘がある。
コロナが明けてしばらく経ち、自由に海外旅行に行きやすくなった一方で、円安や航空券の値上がりによって、旅行会社は以前のようが低価格ツアーを提供するのが難しくなってきた。
「そのため、ある程度のコストを抑えつつ内容を充実させるツアーが増えており、今回のマレーシアでの事故のように、短期間で国を縦断あるいは一周するプランが多く組まれています」(旅行ジャーナリスト)
事故が発生したのは、JTBが主催する「マレーシア縦断7日間」ツアーで、価格は1人15万円だった。事故はツアー4日目、絶景リゾート「キャメロンハイランド」へ向かう途中で起きた。JTBでは運転手1人の運行距離を1日500キロ以内に抑える規定を設けており、事故当日、そのルールは守られていた。先の旅行ジャーナリストが現地の事情を明かす。
「海外の現地発着ツアーでは通常、そこまで長距離の運転は組まれません。特にマレーシアは国内が比較的狭いこともあり、地元の運転手は長距離運転に慣れていないのかもしれません。加えて、過密スケジュールが運転手の疲労を助長した可能性が考えられます」
相次ぐ海外でのバス事故を受け、旅行者やツアー企画側には安全性を一層重視したプラン構成が求められることだろう。