11月16日に続き、11月20日にも青森県陸奥湾を震源とする、最大震度4の地震が観測された。震源の深さは10キロと浅く、地震の規模はマグニチュード(М)5.1。陸奥湾でM5以上の地震が起きたのは1934年以来、90年ぶりだという。
青森県内には東北電力および東京電力の東通原子力発電所(東通村)、電源開発大間原子力発電所(大間町)、日本原燃六ヶ所再処理工場(六ヶ所村)、リサイクル燃料貯蔵使用済燃料中間貯蔵施設(むつ市)が集中しているため、これが大地震の前兆なのか、実に気になるところだ。
令和の世は、1200年前に日本各地で起きた天変地異と疫病流行を鎮めるために京都で「祇園祭」が始まった、貞観の世と比べられる。貞観は859年から877年の清和天皇、陽成天皇の時代の元号だが、わずか18年の間に北陸の越中越後地震、富士山の貞観大噴火、阿蘇山噴火、陸奥国大地震、播磨国大地震、そして869年に三陸沖を震源とするM8.3超の貞観地震が起きた。
学問の神様、菅原道真らが記した「日本三代実録」によると、貞観地震に伴う津波の犠牲者は1000人を超えたという。東日本大震災の際にクローズアップされた「1200年前の津波被害を伝える石碑」は、貞観地震被害を伝えるために先人が残したものだ。
貞観の天変地異と比較すると、1995年の阪神淡路大震災から2024年元日の能登半島地震まで、まだ起きていないのは陸奥国大地震と富士山大噴火だけ。なんともイヤな一致である。
ちなみに元号が貞観から元慶に変わった878年には、関東地方で相模湾トラフ地震「相模武蔵地震」、仁和に変わった887年7月に京都震源の大地震、東南・南海トラフ沿いの大地震「仁和地震」が相次いだ。
東日本大震災が1200年ぶりに日本列島の地殻変動を引き起こしたのだとしたら、1200年前と同じ地殻変動が続いても不思議ではない。冬の大地震は、夏の大地震に比べて火事や凍死者、病死者、降雪や路面凍結で逃げ遅れた津波犠牲者の被害が甚大になると、総務省は注意喚起している。
あと1カ月余りで、能登半島地震から1年になる。年末の大掃除のついでに、防災用品も見直すとしよう。
(那須優子)