トルコ南部で起きた巨大地震から約1カ月。震源となった東アナトリア断層の北には、東西に延びる北アナトリア断層が接する形で走っている。
この断層はトルコ北部を約1000キロにわたって貫いているのだが、80年前にはこの断層に沿って、東から西へ順に巨大地震が発生していた。地震学の研究者が解説する。
「最初は1939年、この断層の東の端にあたるエルズィンジャン付近でマグニチュード(M)7.8の地震が発生した。その後、43年、44年と徐々に西へ場所を移動させながら、M7クラスの大地震が続きました。ここでいったん収束したかに見えましたが、67年に再びM7クラスが発生。それから30年近くたった99年8月、北アナトリア断層上の都市イズミトでM7.4が起き(イズミト地震)、約1万7000人が死亡しているんです。この断層の動きは、東アナトリア断層にも影響を与えるとされ、当然、今後はその逆の現象も指摘されています」
この北アナトリア断層を、日本における「中央構造線」にたとえる専門家は多い。中央構造線は九州東部から関東を横断する大断層で、その長さは同じく約1000キロに及ぶ。
「中央構造線では1596年9月、現在の愛媛県で発生した慶長伊予地震(M7.0)を皮切りに、大分県で慶長豊後地震(M7.0~7.8)、京都で慶長伏見地震(M7.5)と、5日間のうちに巨大地震を3つも引き起こしています。中央構造線は長野県諏訪湖付近で本州を縦断する、フォッサマグナと呼ばれる巨大な地溝帯にぶつかっているのですが、このフォッサマグナの西の縁には中央構造線と並び、大断層帯として知られる糸魚川・静岡構造線が走っている。つまりトルコと同様に、中央構造線付近の地震と南海トラフ巨大地震が連動する可能性があるわけです」(前出・地震学の研究者)
トルコでは現在、建設中の原発のみで、稼働しているものはないが、日本は中央構造線上に伊方原発(愛媛)、川内原発(鹿児島)が稼働中なのに加え、南海トラフ地震の震源域内には浜岡原発(静岡県)があり、かねてから危険視されている。連動巨大地震が起これば、日本は壊滅だ。
(蓮見茂)