社会

献血にウイルスが紛れ込む…新聞・テレビが伝えない「リンゴ病」警報レベル蔓延の実態

 頬がリンゴのように赤くなる「リンゴ病(伝染性紅斑)」の患者が急増し、東京都内や川崎市では「警報レベルに達した」と発表された。

 リンゴ病の流行は、新型コロナ禍前の2018年以来、6年ぶり。新型コロナのせいで行動制限された未就学児童は免疫がないため、特に注意が必要となる。

 リンゴ病が怖い理由は、その爆発的な感染力にある。感染力が最も強いのは「ほっぺが赤くなる前」で、微熱や頭痛、関節痛、だるさなど「風邪を引いたかな」と思った頃が人にうつしやすい。そこで無理に登園、登校させることで感染が広がってしまい、ほっぺが赤くなった頃には、感染力はほとんどなくなっている。

 新聞やテレビは市中の開業医を引っ張り出してきては、さも中高年がリンゴ病に感染するかのように「誤報」を垂れ流しているが、リンゴ病は基本的に一度感染したら免疫がつき、再感染はしない。子供が中高年に感染を広げるかのような「悪意ある認識」を広げるから、オールドメディアは現役世代の信用をますます失っていくのだろう。

 例外はリウマチや抗ガン剤などで免疫力が落ちた人であり、リンゴ病と似た症状が出ることがある。免疫力が落ちた人はリンゴ病に限らず、冬場はインフルエンザや「人喰いバクテリア」の重症化リスクも高い。この時期は外出を控え、感染対策を十分に施すしかない。

 とりわけ妊婦がリンゴ病に感染すると、風疹のように奇形児や聴覚視覚障害の報告はないものの、お腹の胎児の心臓や胸、腹に水が溜まる「胎児水腫」を引き起こし、最悪の場合、胎児が死ぬ。

 以前は妊娠初期から中期に胎児水種が起こりやすいと言われたが、妊娠後期でも報告例が上がっている。今までリンゴ病にかかったことがない妊娠中の女性は産科医に「意見書」を書いてもらい、可能であれば流行が収まるで「時差通勤」や「テレワーク」に切り替えるのが無難だ。

 恐ろしいことに、リンゴ病を引き起こす「ヒトパルボウイルスB19」(以下、B19ウイルス)に感染した人が献血に行くと、血液製剤にウイルスが混入してしまう。他の病原ウイルスが加熱やフィルターによって除去されるのに対し、B19ウイルスは除去しきれず、血液製剤に混入する。血液製剤にPCR検査をしたところ、B19ウイルスのDNAが見つかったという報告例を、国立感染症研究所のサイトでも取り上げている。

 最悪のシナリオは妊婦やガン、白血病、リウマチなどの治療中の患者に、B19ウイルスが混ざった血液製剤が輸血されるケースだ。国立感染症研究所は、免疫機能が落ちた人への血液製剤投与に注意喚起している。

 これまでリンゴ病にかかったことがある人が極端に恐れる必要はないが、同僚や周囲への気遣いだけは忘れないでほしい。

(那須優子/医療ジャーナリスト)

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