これまでファンに明かされることのなかった、関係者しか知り得ない裏事情や、プロの視点で語る戦力・選手分析など、ファンにとっては目から鱗の情報がてんこ盛り。再生回数が伸びるのは当然といえるのが、元プロ野球選手のYouTubeチャンネルだ。
例えば日米の球界で活躍した野球評論家・上原浩治氏の「上原浩治の雑談魂」は、登録者数99万7000人を誇る人気チャンネル。続いて87万7000人の古田敦也氏「フルタの方程式」、81万1000人の里崎智也氏「Satozaki Channel」がトップ3に名を連ねる。いずれのチャンネルも新しい動画が投稿されるや、たちまち再生回数が爆上がりする盛況ぶりなのである。
そんな中、独特のスタイルで「限界突破している」と言われるのが「ミスタータイガース」掛布雅之氏のYouTubeチャンネル「掛布雅之の憧球」だ。登録者数は13万4000人と、レジェンドとしては控えめで、再生回数はどの動画も数千回ほど。トップ3の数十万回レベルには遠く及ばない状況だ。
現役時代の掛布氏を知る虎党にとっては垂涎の動画ながら、なぜそれほど話題に上がることがないのか。実はそもそも、掛布氏本人が登場しないのだ。
最近の動画は「AIニュース」と題して、AI音声が阪神の話題を中心に野球ニュースを読み上げる。まれに掛布氏が登場する回はあるのだが、長らく日本テレビ、読売テレビの解説者を務めていたからか「巨人愛」を語ることもある。口さがない野球ファンからは「いっそ、松村邦洋を出した方が再生回数を稼げるのでは」と揶揄する声が聞こえてくる。
もっとも、掛布氏の動画がAIニュースにシフトしたのは、ここ2カ月ほどのことで、それ以前は動画に登場し、阪神の話題を中心に雄弁に語っていた。
11月25日には阪神ファンのタレント・山田雅人のイベントにゲスト出演し、次期阪神OB会長に就任することを明かした掛布氏。多忙ゆえに、YouTubeチャンネルに労力を振り分けるのが困難になってしまったのかもしれない。
(ケン高田)