大相撲九州場所で初優勝した大関・琴桜の祖父、初代琴桜は右押っつけ、左のど輪で一気に攻める押し相撲を得意として、「猛牛」と呼ばれた。1972年の九州場所、14勝1敗で3度目の優勝を飾ると、1973年1月場所も14勝1敗で連覇し、場所後に横綱に昇進した。連覇での頂点を狙うその孫について、相撲ライターが言う。
「今の琴桜に怖いものなんてありません。横綱に挑んだ祖父は33歳を過ぎたロートルでした。彼はその1年後に引退しているんです。普通に考えると、実力だけでもぎ取った優勝だとは考えにくい。一方、今の琴桜は27歳という脂の乗り切った青年大関です」
新大関のプレッシャーから9勝止まりだった大の里も、巻き返しは必至である。千秋楽で優勝を競った豊昇龍も、優勝あるいは優勝同点なら綱を引き寄せられる。相撲ライターが続ける。
「技能賞を受賞した若隆景、九州場所を大関獲りの起点と考えた若元春…これからの活躍が期待される強豪力士が出揃いました」
では、琴桜の綱獲得はどうなるのか。相撲ライターがさらに続ける。
「琴桜の安定感は抜群です。来場所もケガがない限り、簡単には負けないでしょう。おそらく1つか2つ負けて、千秋楽を迎える。一方の豊昇龍は、自分に負けてしまう。優勝がかかった今場所の千秋楽、本人は仕切り線で足が滑ったと言い訳をしましたが、要するに足元をよく見ていなかったということです」
つまりは琴桜と大の里が死闘を演じることになるのだ。
「大の里は出足にものをいわせて一気にもっていこうとするでしょうが、これを踏ん張って食い止めることができれば、琴桜には大いに勝機ありです」(前出・相撲ライター)
今から来場所がもう待ち遠しいのである。