今年の大学ラグビー「早明戦」は、記念すべき100回目の決戦となる。12月1日に国立競技場で行われる、早稲田大学VS明治大学の「伝統の一戦」だ。
といっても大学日本一をかけた戦いではなく、8大学が総当たりで、年末年始に行われる大学選手権の出場権をかけて争う、関東大学ラグビー対抗戦1部の試合にすぎない。それでも11月23日に「早慶戦」、12月の第一日曜日には「早明戦」が組まれることが儀式化されており、ラグビーファンはひとつのお祭りイベントとして認識している。節目の大会ゆえ、チケットは例年より売れているのだが、
「ここ数年、早明戦の観衆は3万人台でしたが(2023年は3万1915人)、今年は4万人に迫る勢い。両大学で100回記念Tシャツなどを販売して、学生たちに認知させる活動が行われています」(スポーツライター)
そしてこの盛り上がりを支えている要因について、
「とにかく今年は早稲田大学に尽きる」
と語るのは、大学ラグビー関係者だ。
日本代表エディージャパンに現役の学生ながら招集された早大2年生の矢崎由高は、なんと6万人の観衆が見守った10月26日のオールブラックス戦に先発出場。キャプテンの佐藤健次は6月のマオリ・オールブラックス戦で、日本の初勝利に貢献するトライを挙げている。
「日本代表は悲惨な状態ですが、それでも学生ながら代表出場した早稲田の現役選手たちの知名度はグングン上昇。しかも代表合宿で鍛えられ、パワーやスキルが大幅アップしました。その彼らがスター選手として大学ラグビーに戻り、無双状態というわけです。この状況に、ここ数年は帝京大学や明治大学の後塵を拝するばかりだった早稲田OBが大盛り上がり。矢崎や佐藤だけでなく、SO(スタンドオフ)の服部亮太など、未来の日本代表候補の1年生たちが先輩に引っ張られて躍動し、大学選手権3連覇中の王者・帝京大学に圧勝しましたからね。近年の早明戦は明治サイドからチケットが売れていくのが常でしたが、今年はほぼ対等に売れている。早稲田ファンが戻ってきたという証拠です」(前出・大学ラグビー関係者)
テレビでの特集など、メディアの取り上げ方が普段より目立つことにも、
「マスコミ業界に早稲田出身者が多いことが影響している。早稲田さまさまですね」(前出・大学ラグビー関係者)
話題の乏しいラグビー界にとって、なんとしても盛り上がる「早明戦」になってくれることが、最大の願いなのである。
(高木莉子)