さすがに、間に合いそうにない。
価格変動制チケット導入で、総スカンを食らってしまったラグビー日本代表戦。6月22日の14時50分キックオフのイングランド戦のチケット(国立競技場)は、試合前日でまだ余っている状況だが、20日にエディー・ジョーンズ率いる「新生ジャパン」の先発メンバーが発表されると、あきらかに動きが変わってきたという。スポーツライターが話す。
「すでにラグビーファンの間では話題になっていますが、2019年や昨年の2023年のメンバーからガラリ一新です。特に、現役の早稲田大学2年生である矢崎由高(やざき・よしたか)を、ツワモノ軍団のイングランド相手にいきなりFB(フルバック)で先発させます。野球でいえば、プロ入り前の甲子園優勝投手をWBCのアメリカ戦で先発させるようなものでしょうか。そのぐらいの衝撃采配です。そして、フォワードの中心である背番号2番のHO(フッカー)には、慶應義塾大学時代はキャプテンだった25歳の原田衛(はらだ・まもる)が先発、さらに、後半のとても大事なポジションといえる18番の控えのPR(プロップ)には、ついこの春まで明治大学の主力メンバーだった22歳の為房慶次郎が抜擢されました。まさに、新たな早慶明がそろい踏みというメンバーを見て、価格変動制チケットの価格がほぼ正常に戻った背景はありますが、急に前売り券が売れ始めたようです」
ラグビーほど、出身大学が重要視されるスポーツは他にない。近年の日本代表は、大学ラグビー界を無双する帝京大学と、リーチ・マイケルら日本代表資格を持った外国生まれのプレイヤーが中心だった。ところが今回は、その〝重要〟な出身大学がバラエティーに富んでいる。前出のスポーツライターが説明する。
「イングランド戦のベンチ入りメンバーは23人中、帝京大学出身の李承信を含めて、漢字名が14人です。内訳は早大と帝京大が3人、慶大が2人、明大、中央大、法政大、東海大、天理大、九州共立大がそれぞれ1人ずつ。ここまで出身大学がバラけたことは近年ありませんでしたし、しかも若い選手が大半です。他のスポーツファンにはなかなか理解できない部分ですが、各大学のOBでラグビーファンの方が胸アツになっていることは容易に想像できます」
試合直前になって、チケット売り上げが加速したことは間違いなくそれが理由だ。しかし、やはり「もう間に合わない」というのが実情だ。
価格変動制チケットを悔やむ声が絶えるどころか、「(売れないのが)もったいなかった」とさらに拡大する中、はたしてどこまで追い込めるのだろうか。
(飯野さつき)