JR東日本が千葉県を走る久留里線の一部区間の廃線を発表したまさにその日、東北からも衝撃的なニュースが飛び込んできた。青森県の弘南鉄道が大鰐駅と中央弘前駅を結ぶ「大鰐線」を、運行休止にすると発表したのだ。2027年度末で休止し、事実上の廃線となる。
大鰐線は赤字が続き、以前から廃線が検討されていた。鉄道ライターの解説を聞こう。
「利用者数が年々、減り続けていて、2013年に廃止する方針が示されました。その後、取りやめになったのですが、2023年に再び廃止が検討された。2023年度の収益が改善しない場合は、2025年度末に運行を休止するとの方針でした。今回、弘前市と大鰐市の首長が理解を示したことで、休止が決定した。これをきっかけに『大鰐線の沿線自治体も納得したのだから』と、他でも廃線が続かないか心配です。悪しき前例にならないといいんですが…」
その危機は弘南鉄道自体にも降りかかる可能性を秘めている。弘南鉄道は大鰐線の他に、弘前駅と黒石駅を結ぶ「弘南線」を持っているが、こちらも収入は右肩下がりだ。
沿線自治体からの支援がなくなれば、運営を続けられなくなる鉄道会社は少なくないと、前出の鉄道ライターは言うのだ。
「ある地方ローカル鉄道会社の社長ははっきりと『自治体の支援、補助がなくなったら廃線にするしかない』と言っていました。どこも観光列車を走らせたり、グッズを販売するなどして収益を出そうとしていますが、それも限界がある。やはり、自治体の援助は欠かせないんです」
今はただ「廃線ドミノ」が起きないことを祈るしかない。
(海野久泰)