12月1日の福岡国際マラソンで優勝したのは、日本歴代3位の2時間5分16秒を記録した吉田祐也(GMOインターネットグループ)だった。2009年のツェガエ・ケデベ(エチオピア)が出したコース記録(2時間5分18秒)を更新し、来年に開催される世界陸上の参加標準記録(2時間6分30秒)を上回った。
吉田はゴール後、握った右手を大きく2度振り下ろし、喜びを噛みしめた。優勝インタビューで「今の気持ち」を問われると、大粒の涙を流した。
「2020年に初優勝してから、この4年間というのは…本当に辛かったこと、悔しかったことが、言葉にできないんですけど。たくさんの人が支えてくれたから、こういうレースができたんだと思います。本当にありがとうございました」
吉田は青山学院大学4年生の時に、箱根駅伝に初出場。4区を走り、区間新記録を打ち立てた。初のフルマラソンは、2020年2月の別府大分毎日マラソンで、3位だった。そして2回目となる福岡国際マラソンで、初優勝を遂げた。
2022年10月、ツインシティーズマラソンで2度目のフルマラソン優勝を経験し、今回が3度目の頂点となった。しかし、過去2回の優勝と今回には、大きな違いがある。
過去2回の優勝大会は、世界陸上やオリンピックの代表選考を兼ねておらず、他の大会…例えば、世界陸上ユージーン大会(2022年)選考を兼ねた東京マラソンで24位。今夏開催されたパリ五輪の代表選考会を兼ねた2023年10月のマラソングランドチャンピオンシップは50位だった。そして同じくパリ五輪選考の大阪マラソン(2024年2月)で4位。
世界陸上やオリンピック代表選考会では、ことごとく結果を残せなかったのである。来年、東京で開催される世界陸上の代表選考を兼ねた今大会の優勝は、吉田にとって格別だったことだろう。
晴れて代表に選ばれた暁には、これに勝るとも劣らぬ東京での快走を期待したい。
(所ひで/ユーチューブライター)