日本時間の8月14日早朝に10日間の日程を終えたロンドン世界陸上。
日本選手が注目されたマラソンは、8月6日に行われたが、結果は、男子は公務員ランナーの川内優輝選手が9位、中本健太郎選手が10位、井上大仁選手は26位。そして女子は、清田真央選手が16位。安藤友香選手は17位、重友梨佐選手は27位と振るわず、1995年からの大会以来、初めて男女ともに入賞なしとなった。
この状況に、あるスポーツライターは「陸連内部と周辺のマラソン関係者との間の溝が深まるかもしれない」と顔をしかめた。その理由についてこう続ける。
「今回、女子の日本勢の中で最下位だった重友選手を巡って2015年の北京世界陸上のマラソン選考時に起きた確執が再燃しそうだからです。当時、重友選手が選ばれた際、マラソン解説者の増田明美さんが『おかしい』と陸連に対し真っ向から異議を唱えました。さらにシドニー五輪金メダリストで当時から陸連理事だった高橋尚子さんもこの選に『私は一切承認していない。田中(智美)さんの方が有利だと訴えたが、他には(陸連内部で)誰も同意してもらえず、ただ“強い選手を選んだ”だけの一点張り。重友さんが結果を残せばよいが、今のままでは選手達がかわいそう』とまで憤慨していたんです」
増田氏と高橋氏が、当時、このような態度を見せたのはなぜなのか?
「14年の横浜国際女子マラソンで優勝した田中智美選手を落とし、15年の大阪国際女子マラソンで、田中選手より18秒早かったものの3位(その後1位の選手がドーピング違反・失格で2位に繰り上げ)だった重友選手を北京陸上の代表に決め、田中選手を落としたからです。結果、重友選手は、北京大会は14位で、日本女子選手の中で最下位でした。そして、今回のロンドンでも最下位。もっとも、今回の選考基準を完璧に満たしていたのは、安藤選手のみとはいえ、清田、重友両選手も基準に照らせば、もちろん順当に選ばれていた。しかし、結果が出ていない以上、選考基準の再考が求められていくでしょうね」(前出・スポーツライター)
かつて“マラソン大国”と称され、数多くのメダリストたちを輩出していた日本。その衰退の原因が究明される中で、陸連の体質を問題視する動きも、強まりそうな気配なのである。