「(菅野)智之が抜けるとピッチャーのチームリーダーがいなくなる」
阿部慎之助監督の強い要望により、楽天を自由契約になった田中将大の巨人入りが確実になった。田中自身も入団の意思を固めたという。
日米通算18年目の今季はわずか1登板で未勝利という不甲斐ない結果に終わったが、来季はあと3勝に迫った200勝に向けて、新たに出直しを図ることになる。
とはいえ、阿部監督の「ピッチャーのリーダーが必要」発言を聞いて、強い違和感を抱いた人は多いのではないか。なにしろ阿部監督はハワイ優勝旅行のウェルカムパーティーの席で、開口一番「来季からキャプテン制を廃止します」と宣言し、「全員がキャプテンと思ってやってほしい」と選手に理解を求めたばかりなのだ。
巨人の投手陣は戸郷翔征が先輩後輩に気配りを働かせ、ブルペン陣はベテランの高梨雄平がまとめ役を買って出ている。原辰徳政権時代から一枚岩のまとまりを見せており、むしろレジェンド選手の田中が加入することによって、無用な波風が立たないとも限らない。
これに先立ち、巨人OB会長の中畑清氏は12月15日放送の「サンデーモーニング」(TBS系)に出演した際、
「チャンスを与えるんであれば、ジャイアンツが手を挙げてほしい。慎之助、お前が獲れ!」
と阿部監督に「指示」を出した。「私が監督だったら獲っている」と言い切っていたのだが、同番組では12月1日の放送でも、桑田真澄2軍監督が田中にエールを送っている。阿部監督にしてみれば、徐々に外堀を埋められた形だ。もはやリーダーとして田中を持ち上げるしか、「適切な言葉」が見つからなかったのかもしれない。
そもそも田中にそれほどのリーダーシップと影響力があるのなら、楽天が簡単には手放さなかったのではないか。来季、一枚岩の巨人投手陣がどうなるのか、見ものである。
(ケン高田)