巨人・阿部慎之助監督の「プランB」発動時期はいつなのか。入団以降、守護神として活躍してきた大勢の先発転向のことだ。中日から自由契約になっていた守護神ライデル・マルティネスを2年24億円で獲得したことで、従来の守護神の扱いが変わってくるためである。
在京スポーツ紙プロ野球担当デスクは、次のように話す。
「現在、ハワイ優勝旅行を満喫している阿部監督は、現地で8回を大勢、9回をマルチネスでいくというプランを明かしましたが、そんなものはアテになりません。実際はまだ何も決まっていないはずなので」
今季、セ・リーグのペナントを奪回した巨人だが、連覇に向けて手をこまねいていられる状況にはない。今季、復活を遂げ、自身三度目のMVPに輝いた菅野智之が海外FA権を行使して退団することがほぼ決定的。菅野の稼いだ勝ち星15勝分を賄わなくていけないからだ。スポーツ紙遊軍記者が、来季の先発ローテの不透明感を語る。
「戸郷翔征が中心になることは間違いないが、山﨑伊織や赤星優志、井上温大などを含めても、誰を2番手、3番手にするか、なかなか菅野の代役は決まらないでしょう。あの田中将大も入団するようですが、割って入るのは容易ではないですからね」
そこで持ち上がってくるのが、大勢の存在なのだ。球団OBのひとりも、大勢の先発転向を推奨する。
「変則フォームから繰り出す投球は、そうは打てない。1イニングで打ち崩せ、というのは無理な話ながら、あの投球なら長いイニングでも十分に通用する。大勢は学生時代に故障歴があるし、本来は過酷な抑えを長年任せるより、間隔を空けて登板できる先発の方が長持ちするでしょう。本人も秘かにそれを望んでいる気がする」
現段階ではメジャー挑戦を明確にしていないが、その志向は強いといわれている。肩を酷使しての勤続疲労で選手生命に影響が出ては、元も子もない。
ハワイV旅行を直前にキャンセルし、来季に向けてトレーニング中。すでに来春のキャンプインに備えている野球の虫だけに、いつ「プランB」が発動されても十分に対応できることだろう。
(阿部勝彦)