JR貨物が2025年3月のダイヤ改正の詳細を発表した。貨物列車はトラック輸送の拡大や、夜間の走行が嫌われたこともあって縮小傾向だったが、二酸化炭素を排出しないエコロジーな輸送手段であることと、トラック運転手の不足もあって見直され、近年は存在感を増している。その影響でダイヤ改正は、輸送力増強を実現するものとなった。
具体的には東京と仙台を直結するコンテナ列車を設定。さらに札幌と広島を日本海経由で直接、結ぶ列車も。所要時間は以前の便より9時間12分も短縮される。福岡から宇都宮、新座への列車を速達化し、所要時間を新座行きで5時間53分、宇都宮行きで6時間14分も短縮する。
この他にも深夜発のダイヤを拡充。生鮮食品など深夜発の輸送ニーズに対応する。
大型トラックとほぼ同じサイズの、大型コンテナの取り扱いも始まる。これによって貨物列車からトラック、トラックから貨物列車のコンテナの取り扱いをスムーズにする狙いだ。
さらには、貨物列車を牽引する電気機関車を新造。EF210形電気機関車(写真)は9両、EF510形も9両を投入する予定となっている。
このダイヤ改正を、鉄道ライターはどうみているのか。
「電気機関車の新造台数に、JR貨物の本気を感じました。電気機関車は毎年、数両が新造されてきましたが、今年は一気に18両ですから。2026年には貨物列車の本数を増やすことができそうです。まさに攻めの姿勢です」
だが電気機関車の新造には、鉄道ファンからこんなやっかみもあるのだと、この鉄道ライターは言うのだ。
「JR貨物はここ5年の間に、多くの電気機関車を廃車にしました。その中にはEF64形電気機関車やEF65形電気機関車、EF66形電気機関車など、人気の機関車があります。新造するくらいならこれらを使い続けてほしかった、というのが鉄道ファンの本音。老朽化していましたが、使えないということはなかったので、残してほしかったですね。いったん廃車になると、復帰することはできませんから」
2025年3月以降、貨物列車がますます重要になるのは間違いない。
(海野久泰)