北九州市のマクドナルド店内で12月14日に発生した、中学3年生の男女2人が殺傷された事件で、福岡県警は12月19日、近所に住む43歳の無職の男を男子中学生への殺人未遂容疑で逮捕した。
事件から5日後の容疑者逮捕となったが、この間、近隣住民は生きた心地がしなかっただろう。しかも事件があった日の午後、殺害現場から約200メートル離れた公園に「刃物を持った男がいる」との目撃情報が警察に多数寄せられていたというのだ。公園周辺の小学生たちは刃物男に気付き、逃げて無事だったという。
福岡県警には不審者情報をメール配信する「あんあんネットふくおか」という地域安全情報提供サービスがあるが、事件当日の「刃物を持った男の目撃情報」配信はなかった。
殺傷事件の前日から当日の14日朝にも、事件現場から約1キロ離れた小学校周辺や市街地で、女子高生や通勤途中の女性が不審者につきまとわれる事件が相次いでいた。福岡県警がこれらの事件や不審者情報を配信したのは、殺傷事件の翌日15日。その間、不審者情報配信を怠っていたことになる。
これら不審者と容疑者が同一人物かはわからないが、事件現場周辺はに進学塾や公園があり、子供が集まるエリア。公園で刃物男が目撃されたのは日没前であり、直ちに福岡県警が「刃物を持った男が徘徊中」という不審者情報を配信していたら、被害にあった中学生が塾帰りに事件現場となったマクドナルドに寄ることもなく、保護者は迎えに行ったことだろう。
犯人が逮捕されても、女子中学生の命は戻ってこない。
(那須優子)