9年ぶりにJ2への降格が決まった、コンサドーレ札幌。7シーズン指揮したミハイロ・ペトロヴィッチ監督が退任し、かつて鹿島アントラーズを率いた岩政大樹氏が新監督に就任することが決まった。
来季に向けて動き出す中、降格とともにサポーターをガッカリさせたのが、MF菅大輝、MF駒井善成、MF小林祐希、GK阿波加俊太との今季限りでの契約満了だった。Jリーグを取材するサッカーライターが表情を曇らせて語る。
「最終節の柏レイソル戦の前日にクラブから発表され、試合後に菅は号泣。本人は減俸を受け入れて、1年での昇格に力を注ぐつもりだっただけに、0円提示を受けて悔しさを抑えきれなかったのでしょう」
左ウイングバックを主戦場とする菅は、札幌の下部組織出身で2016年にプロ入りしてから、これまで札幌一筋。J1通算250試合出場を達成し、今季は34試合に出ている。2019年には日本代表に初選出され、強烈な左足は「菅キャノン」と呼ばれていた。前出のサッカーライターが言う。
「J2降格が決まってサポーターがビクビクし2ていたのは、主力選手の草刈り場になることでした。それがまさか、クラブ側から手放すとは…。駒井との契約満了も、驚きでしかありません。今季は36試合で先発出場し、攻撃では緩急をつけた鋭いドリブルでアクセントを加え、守備の時は前線からハードワークを継続。今季のチームMVPの呼び声が高いパフォーマンスを見せていたのに」
今夏、残留に向けて緊急補強した6選手が半分以上ヒットしなかった上に、今度は昇格に向けてキーマンとなる主力を人員整理したとなれば、サポーターがクラブ側に不満を募らせるのは当然のこと。それ見たことかとばかりに、さっそくJ1のクラブに動きがあった。
「菅の獲得に向けて、王者のヴィッセル神戸と2位サンフレッチェ広島が争奪戦を繰り広げています。今季、優勝争いをした2チームがすぐに動いたことが、菅がどれだけいい選手なのかを表している。駒井に関しても経験豊富な実績が高く評価され、水面下で複数のクラブが調査に乗り出しているようです」(前出・サッカーライター)
札幌は去就が注目されたMF近藤友喜が残留を決断した一方、守備の要のDF岡村大八に町田ゼルビアがオファーを出したと報じられている。
J1昇格に向けて戦力は整うのか、サポーターは気が気ではない様子。札幌のシーズンオフはまだまだ騒がしくなりそうだ。
(風吹啓太)