12月22日に行われるGⅠ・有馬記念(中山・芝2500メートル)は、秋のGⅠを2連勝して無双状態にあったドウデュース(牡5)が右前肢ハ行で緊急回避となったが、暮れのグランプリレースは「余力十分でフレッシュな馬」がアッと驚く激走を演じてきた舞台でもある。
ならば、いかにして穴の激走馬を見つけ出せばいいのか。競馬歴40年以上の筆者がまずオススメしたいのは、人気上位馬を次々と消し去ることのできる消去法である。
ターゲットの第一は、今秋の天皇賞⇒ジャパンカップを転戦して余力のない、グランプリ参戦馬だ。今年の場合、これだけでまずジャスティンパレス(牡5)、ダノンベルーガ(牡5)の2頭を消し去ることができる。
ターゲットの第二は、航空機輸送や出入国検疫などの影響が懸念される、海外レースへの前走参戦馬だ。これにはローシャムパーク(牡5)、プログノーシス(牡6)、シャフリヤール(牡6)の3頭が該当する。
ターゲットの第三は、能力的にも実績的にもグランプリでの好走が期待できない参戦馬だ。この点については筆者の私見が多分に入るが、当する馬はブローザホーン(牡5)、ベラジオオペラ(牡4)、レガレイラ(牝3)、ディープボンド(牡7)、シュトルーヴェ(騙5)、ハヤヤッコ(牡8)の6頭となる。
ここまでで出走馬15頭のうち11頭が消え去り、3歳勢2頭と牝馬勢2頭が残ったことになるが、ここからは消去法と抽出法を組み合わせながら、グランプリ激走馬を探り当てていくことになる。
まず3歳勢として残ったダノンデサイル(牡3)とアーバンシック(牡3)について言えば、1枠1番の絶好枠を引き当てたダノンデサイルにむしろ、食指が動く。鞍上が奇襲作戦で鳴らす横山典弘なら、乾坤一擲の逃げ切りがあっても不思議ではない。
次に牝馬勢として残ったスターズオンアース(牝5)とスタニングローズ(牝5)について言えば、調教過程も含めて「過去イチ」のデキにあるスタニングローズに、激走の気配が漂う。一方、いっこうに状態の上がってこないスターズオンアースは「消し」としたい。
ならば激走候補馬3頭のうち、どの馬で勝負したらいいのか。筆者は「迷ったら最も人気のない馬を買え」という揺るがぬポリシーに従って、今年の暮れのグランプリはスタニングローズの単複で勝負したいと考えている。
牝馬の仕上げにかけては定評のある高野友和調教師が、鞍上に世界のライアン・ムーアを迎えての大一番。まさに「狙いすました一戦」である。
(日高次郎/競馬アナリスト)