05年、追い込み馬だったハーツクライが3番手で先行し、あのディープインパクトの瞬発力を封じたこともある──。
でもな、ヴェルデグリーンのようなタイプが本番で脚質を変えてどうかというと、難しいやろな。11年にブエナビスタが3番手追走から7着に負けたけど、あの馬は決して一瞬の反応がいい馬じゃねえのよ。すごい脚があって“キレる”というイメージがあるかもしれんけど、ギアを順番に上げるようにスピードに乗せていって、グググッと伸びてくるタイプやった。そういう俊敏じゃない馬が前に行っちゃったりすると、外から来た馬にかぶせられて動けねえ、なんてこともあるから難しいんよ。
実は、10年にコンビを組んだペルーサは、スタート直後に勝てると思ったんよ(4着)。ゲート練習で出遅れ癖も治ってて、藤沢先生からも「出たら行け」って言われてたし。すぐに内側に入れて折り合い、直線でゴーサインを出したけど、反応が悪くてね。ジワジワとしか伸びんかった。まあ、それまで、そういう競馬をしてねえからな(笑)。
今年、先行しそうな馬としては、金鯱賞で2番手からタイレコードで制したカレンミロティック、同レースで3番手から2着したラブリーデイが浮上してくる。
カレンミロティックは開幕週で速い流れの中を自分から動いていって押し切ってるから、結構、強ええな。ラブリーデイも3歳だし、力をつける時期だけに、楽しみはあると思うね。
あとは宝塚記念で2番手から2着に粘ったダノンバラードだって、左回りより右回りがええやろうし、行かしたら強ええよ。JC3着のトーセンジョーダンも先行力があって力はある。
そのJCで押し出されるような形で行っちゃったエイシンフラッシュ(10着)も、状態がどうのこうのという負け方じゃねえから。2年前(2着)のように、スローになって瞬発力勝負になればね。ただ、天皇賞・秋でしっかりと仕上げてたから、秋4戦目というローテーションが心配やね。
いずれにしても、オルフェに乗る池添君が金鯱賞でカレンミロティックの手綱を取っていたわけやし、その強さもわかってる。オルフェがどの位置から動いていくのか、それによってレースがガラッと変わるなんてこともありうるし、馬券的にも、おもしろい有馬記念になりそうやね。
◆アサヒ芸能12/17発売(12/26号)より