2024年のバラエティー番組は激動だった。中でも男性タレントについて、複数の業界関係者に聞いてみると、様々な答えが返ってきたのである。まずはベテラン放送作家の回顧から。
「ダウンタウン・松本人志のいない世界が当たり前となり、彼がいなくても回ることが証明されました。彼が最初からピン芸人であれば喪失感は大きいのですが、相方の浜田雅功がそのまま冠番組を続投しているので、そのダメージは意外と少なくて済んでいる。一方で信頼度を上げたのが、ウッチャンナンチャン。過去には内村光良の不倫スキャンダルでずいぶんとイメージが下がりましたが、その記憶は薄くなり、なにかとスキャンダラスなダウンタウンと比較される形で、クライアントからは安全なタレントと思われています」
今後の注目度が高いのは、あの大物芸人の去就だという。ベテラン放送作家が続ける。
「明石家さんまの仕切りがだいぶ怪しくなってきました。『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)は、もはや彼がいなくてもゲストが勝手に盛り上がり、トークが回っていることが多い。比較はできませんが、くりぃむしちゅー・上田晋也が仕切った方が円滑に進む気がします」
では中堅どころはどうだろうか。バラエティー番組スタッフに聞くと、
「千鳥を筆頭に、かまいたち、さらば青春の光、チョコレートプラネット、錦鯉、アルコ&ピース、タイムマシーン3号…このあたりが支えていくでしょう。ここ数年続いていた飯尾和樹、なすなかにしのバブルが弾けて、落ち着きましたね。土田晃之は徐々に見かけなくなってきた。コットン、ラランド、蛙亭、ニューヨーク、三四郎といったメンツも、少し足踏みしている印象があります。ただ、とろサーモンは久保田かずのぶ、アンガールズは田中卓志、バイきんぐは小峠英二がひとり気を吐いているので、存在感は変わりない」
ドッキリスターの顔ぶれも変わりつつある。
「一時期はコロコロチキチキペッパーズのナダル、安田大サーカスのクロちゃん、パンサー・尾形貴弘といった芸人が引っ掛かっていましたが、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で改めてダイアン・津田篤宏の面白さを知った人がいるのではないでしょうか。対してボケのユースケだけ仕事がないという、皮肉な状態が続いていますが…」(前出・バラエティー番組スタッフ)
傾向としては、お笑い芸人を凌駕する「おもしろおじさん」も減ってしまったという。
「例えば戦争カメラマンの渡部陽一、蛭子能収、具志堅用高、棋士の加藤一二三のような、天然で爆発力のある年配タレントがいなくなりましたね。唯一、パリ五輪柔道日本代表のウルフ・アロンが使われている程度でしょうか」(前出・ベテラン放送作家)
では2025年に注視すべき動きは何か。
「まずは松本人志がどう動くか、それとも動かないか。不祥事で言えば、ジャングルポケットの2人も、勝負どころになるでしょう。彼らは中心的存在だった斉藤慎二が脱退した後、太田博久とおたけのコンビで活動しています。現在は特に太田が気を吐いて頑張っていますが、やはり斉藤がいた方がよかった…ということにならないようにしたい。YouTubeチャンネルに、コントのネタをパクられたレインボーも、これを格好の機会だと思って奮起し、レギュラー確保につなげていきたいところでしょう」(在京キー局ディレクター)
次は一体どんな1年になるのか、楽しみに待ちたい。
(田村俊哉)