過去に「禁句の4文字」で物議を醸したことがある…といわれて思い出すのは、松本明子である。
1984年の「笑福亭鶴光のオールナイトニッポン」と「オールナイトフジ」とコラボした番組で、堂々と口走ってしまったのだ。当時17歳だった。
香川県生まれの松本はこの言葉の意味を知らずに、周囲に乗せられて発したようだが、これは一般紙も取り上げる社会的な問題に発展。フジテレビからは出入り禁止を言い渡され、アイドルとしては異例の謹慎4カ月の処分が下された。
筆者は謹慎明けの松本にインタビューした。松本は騒動について「あとになって、あの言葉の怖さを知りました」と神妙な表情で語った。
とはいえ、悲壮感は全くなく、
「みんな私のことを、コメディアンとして思ってるんですよ。一応、アイドルなんですけど…」
謹慎中は今後の芸能生活について思い悩んだという。おそらくこの時から、自身の中ではアイドルよりバラエティータレントの道を選択する決意をしたのだと思う。
あれから40年。松本はバラエティータレントとして生き残っている。結果的に禁句の4文字が福をもたらした、と言えるのかもしれない。
(升田幸一)