広島カープ投手陣の「指標」が最強状態になっている。4月8日の中日戦、ビハインドだったゲームを末包昇大の適時打で振り出しに戻し、その後はリリーフ陣が無失点リレーを展開して、ほぼ勝ちに等しい引き分けに持ち込んだ。
好調の理由は投手陣の活躍にある。ここまで先発陣の防御率2.18は、2.11の阪神に次ぐリーグ2位。特筆すべきはリリーフ陣で、防御率こそリーグ最下位の4.88だが、奪三振率10.41、K/BB(奪三振と与四球の比率)3.56、被HR率0.00は、いずれも1位だ。与四球率2.93は2位に付けている。特に左腕の森浦大輔は、開幕からここまでの5登板で、奪三振率は脅威の13.50をマーク。投球回数こそ少ないものの、この数字はセ・リーグ投手陣の中でトップクラスだ。
…と、今のところ数値上は鉄壁ではあるが、気になるのはシーズンが進んで行く中での「失速」だ。昨季の「悪夢の9月」だけは二度と経験したくないところで…。
だが、その懸念を早くも指摘する人物が現れている。元中日で日本代表の投手コーチ・吉見一起氏はCBCラジオの番組で、広島投手陣の「カットボール投げすぎ問題」を指摘した。
「かつて會澤(翼)に言ったことがあるが、開幕からカットボールを投げすぎると、だんだん真っすぐが弱くなって、夏場にはストレートが死んでしまう。夏場に先発が試合を作れなくなると、どうしても順位は下がる。僕はキャッチャーのリードに注目している」
確かに広島は大瀬良大地や床田寛樹、塹江敦哉、森翔平、栗林良吏など、カットボールを得意とする投手が多い。とりわけ大瀬良は投球のおよそ4割弱がカットボールで、これが面白いように決まると、昨年6月のノーヒットノーランのような偉業達成となる。その反面、シーズン後半は疲れが蓄積するのか、敗戦数が勝利数を上回っている。
今季は打線が好調なため、多くの野球評論家が予想した「Bクラス」から脱するチャンス。吉見氏の不吉な指摘が大いに気になるところだが…。
(ケン高田)