CIA(アメリカ中央情報局)は、秘密情報を取り扱う対外情報機関である。そんな諜報組織が、とあるバイオテクノロジー企業に莫大な研究資金を提供していたとしたら…。
これはいったい何のためなのかと首をかしげるニュースが世界に配信されたのは2022年10月だが、このバイオテクノロジー企業がやっていたのは、ゲノム編集技術を用いた研究。ゾウのDNA配列にケナガマンモスの遺伝子を導入し、マンモスとゾウのハイブリッド版を作る事業計画を推進していたのである。
問題の企業であるコロッサル社はマンモスのほか、絶滅したオーストラリアの大型肉食獣フクロオオカミや、モーリシャスに生息していた飛べない鳥ドードーの復活計画を打ち出していた。CIAは「In-Q-Tel」というベンチャーキャピタル会社を通じ、コロッサル社に投資。経済ジャーナリストが解説する。
「近年、それら動物の遺伝子解析が進み、2015年のマンモスを皮切りに、様々なゲノムが解読されているといいます。コロッサル社はこれらの動物を単に蘇らせるだけでなく、復活させた上で、かつて彼らが生息していた場所に戻すことにより、環境の変化を検証していくことを目的としています」
マンモスが絶滅したのは、今から4000年前。コロッサル社では2027年までに最初のハイブリッドマンモスを誕生させ、氷河期時代の草原を再現した自然公園に解き放つことを計画しているという。
とはいえ、やはりあのCIAが「マンモス復活を目指すハイテク企業に投資」となれば、様々な憶測が流れるのは当然のことだ。
「CIAが投資する本当の目的はマンモス復活ではなく、人間と獣の遺伝子を合わせたハイブリッド戦闘員を作るため」
「マンモスの体内に兵器を仕込んでモスクワに解き放ち、プーチンを殺害するのではないか」
なんとも不穏なものだが、英デイリー・スター紙などは「マンモス復活に巨額資金を投資するCIAをめぐり大騒動勃発」との見出しを付け、大きく報道している。
確かにマンモスは零下40度でも生きていた動物であるため、冬のロシアでも生存は可能かもしれない。とはいえ、マンモスの大群がロシア軍と全面対決するなど、それこそSFの世界の話。
コロッサル社は「マンモスの復活は10年以内」と発表しているが、陰謀論ファンの間ではいまだマンモスとCIAをめぐり、ロシア侵攻説が消えないのである。
(ジョン・ドゥ)