阪神ジュベナイルフィリーズの勝ち馬が、トライアルを挟まずに本番の桜花賞に直行するローテーションは、今や通常の路線。今年もアルマヴェローチェが4カ月ぶりの実戦をこの本番で迎える。
強いのはよくわかっているし、ノーザンファームの仕上げなら久々もマイナスとはなりそうにない。ただし、例年と違うのは阪神JFが阪神ではなく京都で行われたことだ。つまり、アルマヴェローチェは阪神が未経験。断然の人気を集めるのなら、そこに多少の危うさを感じてもいいと思っている。
とはいえ、今年のチューリップ賞、フィリーズレビューの両トライアルは、レースを見た実感として、やや低レベルの印象。阪神コースを経験したことの重みをどこまで評価していいのかも微妙だ。
しかし、その中ではフィリーズレビューを勝ったショウナンザナドゥの気配がさらに上向いているのが目立つ。だいたいが落ち着きのないタイプだったのに、勝って自信をつけたのか、最近は体重も増えて動きにも余裕が出てきた。アテにはならないが、たまった時のキレは最右翼だ。
それ以上に上向いているのが伝わってくるのが、エルフィンS勝ちのヴーレヴー。2週前の動きが抜群で、浜中騎手も「短期間でこんなによくなる馬も珍しい」とのコメント。父サトノクラウンは成功種牡馬とは言えない成績だが、母の父マンハッタンカフェとの相性だけは極上で、この組み合わせからタスティエーラが出ている。2頭目の成功はこの馬かもしれない。人気も地味だけに、ここは頭から狙う大チャンスだ。
関東馬は、クイーンC勝ちのエンブロイダリーと、アルテミスS勝ちのブラウンラチェットが栗東に入厩している。前者は鞍上にモレイラを確保して人気になるのだろう。馬券的に注意しなければいけないのは後者のほうで、阪神JFは1番人気で16着に惨敗しているが、敗因は12キロ減の馬体重だったはず。そこを考慮しての栗東入厩だけに、軽視は禁物。1週前には手塚調教師が栗東を訪れて、チェックを怠らなかった。
2戦2勝のエリカエクスプレスは、ともに先行力を発揮しての完勝。戸崎騎手が得意なタイプだ。ビップデイジーは、堅実な成績だが、ひと押しが足りないとも表現できる。馬券圏内の崖っぷちだろう。クリノメイは、前走が本物なのか、前々走が何だったのかがいまだに不明。
トワイライトシティは、本番につながっていないアネモネSの勝ち馬。センスはありそうだが、手を出しにくい。武豊のウォーターガーベラも、少し足りない感じか。