NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」の評判がすこぶるいい。初回の3月31日から、世帯視聴率15%(ビデオリサーチ調べ、関東)の高水準を保っているのだ。今田美桜が演じるヒロイン・朝田のぶ、そして阿部サダヲが演じるフーテンのパン職人・屋村草吉の2人は、アニメ「アンパンマン」の世界と意外なつながりを持っている。
屋村は劇中で「ヤムおじさん」と呼ばれており、これが「ジャムおじさんを思わせる」と指摘されている。
ではいったい彼はなぜ、パン作りを始めたのか。その秘密が、2023年10月に35周年記念回として放送された「アンパンマン」の「ジャムおじさんとアンパンマン」で明かされている。
子供の頃に遠くの街まで出かけ、空腹のまま帰る途中で力尽きそうになったジャム少年。街の灯りを見ながら「誰も僕に気づいてくれない…」と涙したその時、空から流星が降り注ぎ始める。手元に落ちた流れ星に触れると、あんぱんになった。
それを食べて「あんこの甘さが心にしみた」という少年。
「あの時、思ったんだ。食べた人が喜ぶようなパンを作りたい。ひもじい思いをしている人に食べてもらいたいって」
そう語る少年。ジャムおじさんがパン作りを始めた原点が、コレだった。
そんな「誰かを救うパン」への情熱は、ヤムおじさんと重なる。父・結太郎(加瀬亮)を亡くしたのぶ(永瀬ゆずな)の悲しみを、彼が作ったあんぱんが癒やしていた。
そして、のぶのモデルである小松暢さんは、「アンパンマン」のキャラクターで、ばいきんまんの相棒ドキンちゃんのモデルとなった人物と言われる。のぶもドキンちゃんと同じく好奇心旺盛で、周りを明るくしてくれる。今田も子役の永瀬もドキンちゃん同様、クリッとした目が特徴的だ。
「ヤムおじさん=ジャムおじさん」「のぶ=ドキンちゃん」…そんな目線で見ると、「あんぱん」の物語はより面白くなるはずだ。
(魚住新司)