「アンダースローがあるから、広島に選ばれたと思う」
現役ドラフトで日本ハムから広島への移籍が決まった鈴木健矢は、千葉県・鎌ケ谷で自主トレを行い、こう言った。
球界では絶滅危惧種と言えるアンダースロー。日本ハムでは新庄剛志監督のアドバイスでサイドスローからフォームを変え、主に中継ぎとして登板。本人は新天地で先発投手としての意欲を見せている。
広島のアンダースローといえば、古参ファンの脳裏に深く残っているのが金城基泰だ。体をぐっと低く沈み込ませながら投げ込む独創的なフォームで、1974年には外木場義郎、安仁屋宗八、佐伯和司とともに、先発ローテーションの中心として奮闘。20勝(15敗)、207奪三振で、最多勝と最多奪三振のダブルタイトル獲得となった。
広島は九里亜蓮がFAでオリックスに移籍し、先発枠がひとつ空いている状態。ファンとしては鈴木に先発登板で、金城レベルの活躍を期待したいところだろう。
気になる起用方法だが、すでに日本ハムファンからは、鈴木の「取扱説明書」が届いている。その中身を見てみると、
「先発の場合、長いイニングは難しいので、ロングリリーフ要員の待機が必要」
「基本的に中継ぎの方が使いやすいが、三振が取れないので、火消しで出すのは絶対NG」
意外だったのは、左打者に強いこと。ファンによると、左右のデータは上振れた結果であり、相手チームの監督が左打者を出したら効果的として、
「能力の低い左打者を代打に出してきたら、むしろラッキー」
鈴木はサブマリンには珍しい、スーパークイックもある。典型的な「打たせて取る」タイプだが、セ・リーグで鉄壁の守備を誇る広島の内野陣とは相性抜群だ。これまで広島にはいなかったタイプだけに、ファンは来季の登板を楽しみにしていることだろう。
(ケン高田)