大晦日の「第75回NHK紅白歌合戦」に10回目の出場を決めた星野源は、2013年にリリースした「地獄でなぜ悪い」を歌うことになっているが、これに思わぬ横ヤリが入った。
この曲は、星野も出演した映画「地獄でなぜ悪い」の主題歌だ。選曲について星野は自身のインスタグラムで、NHK側からのオファーだったことを明かし、「今年この曲を歌って欲しいんです。この曲をテレビを観ている〝あなた″の一人一人に届けて欲しいんです」と懇願されたと語っている。ちなみに特別バージョンとして、ギターの弾き語りになるという。
だが、問題が発生した。音楽プロデューサーの松尾潔氏が反対の意を表明したからだ。
松尾氏はSPEED、MISIA、宇多田ヒカルのデビューの際のブレーンのひとり。さらには平井堅のブレイクの仕掛け人、CHEMISTRYの生みの親としても高名な、日本を代表するヒットメーカーである。12月23日にXで、松尾氏はこう訴えた。
〈選曲の背景にどんな事情があったのか知る由もないけれど、源さんもNHKもどうか考え直してください〉
その投稿には「園子温」「性加害」などのハッシュタグが添えられていたが、この園子温氏こそ、映画「地獄でなぜ悪い」でメガホンを執った監督。園氏は2022年、監督作品への出演を条件に、女優らに性的関係を迫ったことが一部報道で発覚している(2023年末に和解)。星野が同名の主題歌を歌えば、被害者らがこれを想起してしまう…松尾氏はそう危惧しているのだ。
松尾氏で思い出されるのは、ジャニー喜多川氏の性加害問題に際し、ジャニーズ事務所(現STARTO ENTERTAINMENT)および同事務所前社長・藤島ジュリー景子氏について言及した一件だ。これが引き金となって、15年在籍していた音楽プロダクション「スマイルカンパニー」との契約を突如解除されてしまう。すると松尾氏は、反撃に打って出る。かつて同プロダクションに誘ってくれた山下達郎もこの契約解除に賛同したとして、山下を非難。これに山下が反論するなど、かつての盟友が仲違いしてしまったのだ。
そして今回も「性加害つながり」で、星野とNHKに異を唱えた松尾氏。星野やNHKが何か対応することはあるのだろうか。
(中田すぐる)