毎年3月のダイヤ改正で新たな列車が誕生すると同時に、いくつかの列車が引退する。改正前ともなれば、廃止前に乗っておこうと、多くの鉄道ファンが詰めかけることは珍しくない。今年、引退する列車の中で、ぜひとも乗っておきたいのが、特急「はちおうじ」と「おうめ」だ。
「はちおうじ」は東京駅と八王子駅を結び、「おうめ」は東京駅と青梅駅の間を走っている。通勤客のための「通勤ライナー」の意味合いが強く、運行は平日だけ。上りの「はちおうじ」は朝に2本、「おうめ」が1本あり、下りの「はちおうじ」は夕方に3本、「おうめ」には2本が設定されている。
「はちおうじ」の停車駅は東京・新宿・立川・八王子。「おうめ」は立川までは「はちおうじ」と同じで、その先は拝島・河辺・青梅となる。停車駅が少なく、八王子駅や青梅駅の利用者にはとても便利な特急だ。
そんな列車がなぜなくなってしまうのか、
「今春、中央線快速と青梅線で、グリーン車のサービスが開始されます。それが『はちおうじ』と『おうめ』の代わりになるのです。これまで両列車を利用していた人には、通勤特別快速のグリーン車を利用してほしい、ということでしょう。グリーン車は快適ですが、『はちおうじ』と『おうめ』のE353系電車(写真)は2017年に運用開始された新しい車両。乗り心地がいいので、ぜひ乗っておきたいですね」(鉄道ライター)
鉄道ファン的には、ぜひ乗っておきたいマニアックな理由がひとつある。
「両者とも東京都内だけを走る特急列車であり、首都圏のJR特急では県境を越えない唯一の列車なんです。これがなくなると、県境を越えない特急列車にはもう乗れなくなってしまうので、今のうちに乗車しておかないと」(前出・鉄道ライター)
2月末からは、鉄道ファンで混雑する可能性が高い。早めに乗っておいが方がよさそうである。
(海野久泰)