誰もが気軽に自分のチャンネルを開設でき、情報を発信できるYouTube。成功したYouTuberは知名度や収入を得るだけでなく、社会的影響力も手に入れることができる。しかしその華やかな舞台には、いくつものトラブルが潜んでいる。
美容系のYouTubeチャンネルを運営する女性が、ジャンルごとに存在するYouTuberコミュニティ-の実情を語った。
「YouTuberにはジャンルごとにコミュニティーがあって、交流会を行います。例えばメイク系のチャンネルなら新作メイクの情報交換をしたり、企画の切り口について話したり。ただ、その内容をパクった、パクられたというトラブルが少なくありませんね」
アイデアを共有する場が一転して、トラブルの温床に。コミュニティー内での関係性が崩れるケースもある。とりわけ女性YouTuberは、視聴者とのトラブルが特に多い。先の美容系YouTuberの女性が、具体例を挙げる。
「視聴者がストーカー化するケースは少なくありません。DMで卑猥なメッセージを送ってくる人もいますし、ひどい場合は過去のSNS投稿から出身校を特定されることもあります。私は家で撮影することが多いのですが、窓の背景が映らないように、細心の注意を払っています。買い物に行く際には、どこで誰が見ているのかわからないので、リアルタイムでの配信は絶対に避けています」
女性YouTuberの間では、こうしたプライバシーや安全対策が日常的な課題となっているのだ。
YouTuberは自由で華やかな職業に見えるが、その裏にはコミュニティー内のトラブルやスタッフとの関係悪化など、外部には見えにくい課題が存在する。人気YouTuberで音楽グループ「Repezen Foxx(レペゼンフォックス)」のケースを見てみよう。
昨年12月31日未明に公式Xで、最後まで残っていたメンバー、DJ脇の解任を発表した。この決定により、グループのメンバーは全員不在となった。
同日、DJ社長はYouTubeに「DJ脇解任のお知らせ」を、楽曲として公開。楽曲内には「400万人のチャンネルわきまさとにあげちゃう」という歌詞が含まれ、MVではYouTubeチャンネルをDJ脇に譲る場面が描かれていた。「グループはどうなるのか」との声が出るのは当然のことだった。
Repezen FoxxはDJ社長の失踪騒動をはじめ、トラブルが続くグループだ。こうした背景について、人気YouTubeチャンネルを運営する男性は次のように語る。
「演者とスタッフのトラブルなんて、YouTube業界では珍しくありません。特に多いのがギャラ問題ですね。YouTubeチャンネルのスタッフになるのは、憧れのYouTuberと働けるチャンスではあるのですが、現実はギャラが安く、過酷な労働環境。やりがい搾取のような運営をしているチャンネルは少なくありません」
Repezen Foxxのような大規模なグループですら、内部トラブルが避けられない現実が浮き彫りに。メンバー全員不在という衝撃的な結末は、華やかなYouTube業界が抱える課題を象徴している。演者とスタッフ、視聴者との関係性が複雑化する中で、成功と引き換えに、多くの葛藤やトラブルを抱え込むことになるのだ。