メジャーリーグで猛威を振るい、本塁打を量産中の「魚雷バット」。日本野球機構(NPB)も導入を前向きに検討しているが、実はすでに分析が進んで「対策済み」となっている。
ヤンキースは開幕2戦目でポール・ゴールドシュミット、コディ・ベリンジャー、アーロン・ジャッジによる3者連続本塁打が飛び出すなど、球団記録となる1試合9本塁打の大爆発。3戦目でも4本塁打12得点と、猛打が止まらなかった。特に魚雷バットを使うジャズ・チザムJr.は4本塁打を量産し、勝利に貢献した。
ところがある「対策」がなされたことで、打撃は急降下。6戦目以降は本塁打を1本も打っておらず、安打ですら、わずか2本のみだ。チザムJr.は、一部ファンからの「禁止しろ」という声に「バレル(打球が当たる部分)は大きくなってるが、MLBの規定内だ! ラベルの位置が違うと言っているバカども、お前らは勘違いしている」と激怒し、魚雷バットを振り続けているが、打てなくなっては、使用する意味はないだろう。
そもそも「魚雷バット」は、打球が最も飛ぶとされるバレルの位置を手元方向にずらし、バットの先を細くした変形スタイル。より根本側で打つ選手が多いというデータに基づいて、重量配分を変えている。つまり「外角球」に弱いのだ。
その事実が判明して以降、チザムJr.は怒涛の外角攻めにあっており、開幕から12試合で4本塁打を放ったものの、三振は21にもなる。チームメイトのベリンジャーやウェルズらも本塁打はピタリと止まり、打率はダダ下がりだ。レンジャース戦で魚雷バット使用し、自己最多の7打点を記録したレッズのデラクルーズも執拗な外角攻めにあい、直近6試合は9三振を喫している。
もしNPBが魚雷バットを採用したら、インハイを苦手とする阪神の佐藤輝明などはハマりそうだが、どうなるだろうか。日本ではスライダーを得意とする投手が多いだけに、魚雷バットのメリットをどれだけ生かせるかは未知数といえよう。
(ケン高田)