開幕から8試合に出場して23打数2安打、打率わずか8分7厘、2打点、0本塁打と絶不調に陥っている巨人・坂本勇人。4月9日のDeNA戦には7番・三塁で先発出場したが、第1打席で三塁への内野安打を放った以降は三塁ゴロ、併殺打、三振に終わり、いいところを見せることができなかった。
阿部慎之助監督は、坂本が開幕2戦で9打数無安打に終わった際、
「いちばん本人が苦しいのでね、苦しんでいるから。打破しないと。いいんじゃないですか、でも守備があるので、自衛隊だと思ってます」
そう言って擁護し、打撃よりもゴールデン・グラブ賞を受賞した守備力に期待を寄せたが、年俸5億円の「守備固め」を容認するほど、巨人ファンは甘くない。
阿部監督の「坂本贔屓」は、中山礼都に対する発言にもみてとれる。中山は4月8日のDeNA戦に7番・三塁で4打数1安打と最低限の結果を残したものの、第4打席のチャンス時は空振り三振に終わり、決勝点を上げることができなかった。これには阿部監督もおかんむりで、
「7番打ってる人はちょっと。やっぱ、状況判断してほしいよね。2ストライクに追い込まれてからも、何の工夫もなしに見逃し三振して帰ってくる」
だが、その後に代打登場した坂本も2打席凡打。中山ばかりを責めるのはいかがなものか。
チャンス時に凡打に終わるのは坂本も中山も同じとはいえ、打率を残しているのは中山の方だ。その中山は阿部監督の言葉に奮起したのか、9日のDeNA戦では9回に代打で出場し、センターへタイムリー二塁打。ダメ押しの1点を追加した。
元日本プロ野球選手会会長の宮本慎也氏は中山について「スイングはしっかりしていて力強さを感じる」と語っており、巨人OBの清水隆行氏も「若手野手の争いの中では最上位」と賛辞を惜しまない。
2億40000万円の申告漏れが指摘されるなど、相変わらず「裏の公式戦」ではスタメン出場を続けている坂本だが、中山ら若手が台頭してきた今、いよいよ「決断」の時がやってきたのかもしれない。
(ケン高田)