村上宗隆の復帰が好調ヤクルトに水を差しかねない、思わぬ事態に見舞われている。
ヤクルトは4月8日からの阪神戦(甲子園)で45歳の石川雅規が新人から24年連続勝利のプロ野球記録を達成する好投もあり、カードの勝ち越しを決めてAクラスに浮上した。ペナントレースはまだ始まったばかりだが、不動の4番・村上宗隆が上半身のコンディション不良で開幕に間に合わず、下馬評では「スタートダッシュは難しい。今年もBクラスが濃厚」といわれていただけに、予想外の健闘だ。
その村上は順調に復帰へのステップを踏んでいる。実戦復帰1試合目となった4月8日のイースタン・リーグ西武戦(戸田)に3番・三塁でスタメン出場。1回二死からの第1打席では、昨季のドラフト1位で新人王争いをした左腕・武内夏暉の137キロ直球を左中間に弾き返して二塁打。9日の同カードでも1打数1安打だった。
「2試合連続で出場できた。しっかりスイングができたのでよかった」
そう話す村上は今後、ファームの遠征に帯同予定で、早期復帰を目指すが、復帰したからといって万々歳ではない状況だという。スポーツ紙遊軍記者が不安を口にする。
「村上は球団も了承し、今オフにはメジャー挑戦する予定になっている。となれば万全の状態で移籍したいはずで、無理はしないでしょう。無理してまたコンディションが悪くなるようなことがあれば、メジャー挑戦が伸び伸びになる可能性がありますからね」
そして在京テレビ局スポーツ報道関係者は、
「不安を感じている場所が問題です」
と指摘し、次のように続けた。
「球団は発表していませんが、どうも脇腹に違和感があるようです。これはやっかいですよ。これまでも脇腹を痛め、その後の野球人生に支障をきたしたスラッガーは多いですからね」
阪神時代の糸井嘉男も何度か脇腹を痛めたが、強行出場を続けたことで、結果として1年間を通じてのフル出場は難しくなった。村田修一や福留孝介、内川聖一も脇腹を痛めたが、責任感から無理をして出場を続けたことで悪化。引退の遠因となった。
高津臣吾監督もそんな名選手たちの状況を目の当たりにしているだけに、村上の起用法に頭を悩ませることは間違いない。
「自らもメジャー挑戦した経験がある高津監督としては、万全の状態で村上を送り出してやりたいという親心がある。しかしペナントレースで結果を残すためには、村上の存在は不可欠。そんなジレンマを抱えながらの起用になる。悩ましい問題です」(前出・遊軍記者)
指揮官の手腕が問われるところだ。
(阿部勝彦)