大相撲の春巡業が先ごろ、福井県敦賀市で行われたが、春場所で横綱・豊昇龍を破った幕内の一山本はその豊昇龍に指名されて土俵に上がり、11番続けて取った。相撲ライターが言う。
「全然、歯が立たなかったですね。前に出ても押し切れず、逆転されて全敗です。横綱の強さを嫌というほど分かったはずです」
さすがに一山本も脱帽だ。
「強かった。まわしをとっても押しても、土俵際で残すのがうまい。番付が低かったら指名されなかった。ありがたい」
相撲ライターが続ける。
「豊昇龍は容赦しませんでした。下位力士に自信を持って来られたら大変です。横綱は一度不覚をとった相手には、土俵で徹底的にかわいがる。それが横綱の地位を守るやり方なんです」
ちなみに、一山本を指名した理由について報道陣から問われた豊昇龍は、
「先場所、負けているから」
一山本とは春場所9日目に対戦し、すくい投げで4敗目を喫した因縁の相手。報道陣から悔しさがあったのかと問われると「それもある」と答えた。
右肘のケガを表向きの理由として、10日目から新横綱としては39年ぶりの休場。1964年の春場所の栃ノ海以来で、昭和以降の最多に並ぶ新横綱場所3つ目の金星を配給するという不名誉な記録を作った。
次の場所は負けられない。
「(一山本が)どんな感じで来るのか、試してみたかった」
と語った豊昇龍だが、はたして…。
(蓮見茂)