今からおよそ6年前の2019年7月、反社会的勢力が主催する会合に人気芸人たちが「闇営業」として出席していたスキャンダルが、大々的に報じられた。
詐欺グループに関与していた人物が主催した会に参加していた元雨上がり決死隊・宮迫博之やロンドンブーツ1号2号・田村亮など吉本所属の芸人は世間の厳しい目に晒され、活動停止を余儀なくされた。
その混乱の中、自身のX(当時はTwitter)に〈後輩芸人達は不安よな。松本 動きます〉と投稿したのが松本人志だった。
すぐさま吉本の大崎洋会長(当時)、岡本昭彦社長と話し合いの場を持ち、出演していた「ワイドナショー」も松本の提案で急遽、生放送に。この放送は番組最高となる16.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の視聴率を記録した。
こうして松本は「芸人の信頼を一身に背負う男」と祭り上げられたが、当初は擁護していた宮迫の復帰はある時期から諦めたようで、その後はたびたび番組で名前を挙げて茶化すくらいだった。宮迫は吉本との契約を解除され、のちにコンビも解散。YouTubeへ活動の場を移している。
だが今、そんな松本自身もテレビから姿を消している。言わずと知れた、性行為強要スキャンダルによるものだ。松本は芸能活動を休止して、報じた「週刊文春」との裁判に注力したいとして、全面対決の意欲を見せたが、昨年11月に訴訟を取り下げている。
その後、復帰のメドは立っていないようで、松本は公の場に現れていない。
松本が、宮迫と同じく週刊誌に刺されて活動の場を失ったのは、単なる偶然だろうか。しかも騒動の発端となった時期は、宮迫と同じく2010年代中頃だというのだから、なおさらだ。
「動いた男」は今、動けずにいる。
(魚住新司)